猛暑が続く日本列島だが、お隣の中国でも各地で災害級の高温が続き、市民生活に大きな支障が出ていた。だがその一方で、中国気象当局は気温を「39℃以下」に抑えた発表を続けており、現実との乖離がSNSを中心に大きな波紋を広げた。
7月3日、湖北省武漢市の解放公園に設置された表示板には「47.3℃」と記録されていた。にもかかわらず、中国気象局の公式発表ではこの日も「39℃」以下だ。
中国当局の発表する気温が毎年のように39℃以下に抑えられるのは、もはや「恒例行事」と言ってもいい。まれに40℃を超えることがあっても、せいぜい41℃止まりで、こうした「数字の操作」は、中国では誰もが知る暗黙の了解だ。

「嘘つけ!こんな死ぬほど暑いのに39℃なわけないだろう!」と、不信感を募らせた市民たちは、温度計を手に街を歩き、実際の気温を測定してはSNSに投稿した。
車のボンネットで卵を焼き、地面に置いたトウモロコシがポップコーンになり、自転車のサドルは80℃を超え、サンダルが溶けて地面に張り付く。露天に停められた電動バイクやパトカーが自然発火し、ヒヨコが暑さで大量死、自動車のタイヤが熱で変形するなど、「灼熱地獄」の光景がネット上で次々と拡散された。
(SNSに投稿された“灼熱地獄”の光景)
では、なぜここまで実態と乖離した「公式数字」が発表されるのか。背景には、中国の労働安全基準の存在があった。中国では最高気温が40℃を超えると、屋外作業の中止や有給休暇の付与が義務づけられていたのだ。そのため、経済活動への影響を避けたい当局が、意図的に気温を「39℃以下」にとどめて発表しているとの見方が広がった。
命に直結する気象情報までもが「社会安定」の名のもとに操作されるというその現実は、暑さそのものよりも、はるかに国民を追い詰めていた。
なお、一部地域ではアスファルトの爆発や街灯の発火も相次ぎ、熱中症による搬送や死者も出た。SNS上では「キケンな暑さなら、キケンと伝えてほしい」と怒りの声も噴出した。こんな、ごまかされた数字では命は守れるはずがなく、いま求められているのは、正確な情報と、それに向き合う謙虚な姿勢と対策であった。
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