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日中外相会談 経済・安全保障分野で協議

2025/07/11
更新: 2025/07/11

外務省の発表によれば、7月10日午前11時20分(日本時間同日午後0時20分)から約45分間、マレーシアで開催されたASEAN関連外相会議の場で、岩屋毅外務大臣と中国の王毅外交部長による会談が行われた。両外相は、昨年12月および本年3月の相互訪問以降も続く日中間の協議の一環として、経済や安全保障など多岐にわたる課題について意見を交わした。

経済分野では、中国によるレアアースや磁石の輸出管理をめぐり、岩屋大臣が日本企業への影響について懸念を示し、輸出許可申請手続きの迅速化を求めた。これに対し、王毅部長は、関連規定を遵守し必要な手続きが取られていれば、日本企業の正常な需要は確保されるとの立場を示した。

日本産水産物の輸入規制に関しては、両外相が中国当局による日本産水産物の輸入再開に向けたプロセスが進展していることを確認し、岩屋大臣は残る10都県産の輸入規制の早期撤廃を要請した。日本側はこれまで、国際原子力機関(IAEA)などによる安全性確認を根拠に、科学的根拠に基づく対応を中国側に求めてきた経緯がある。一方、中国側は福島第一原発の処理水海洋放出を理由に規制を継続しており、両国間で規制の根拠や妥当性について見解の違いが存在している。なお、一部の専門家は「中国側の規制には政治的要素が含まれる」と指摘しているが、会談の場で両政府がこの点について直接的に言及した事実は確認されていない。

安全保障分野では、会談中に中国共産党(中共)軍機が自衛隊機に異常接近する事案が発生した。防衛省の発表によれば、航空自衛隊の情報収集機が中共軍の戦闘爆撃機に約30メートルまで接近される場面があり、日本政府は偶発的な衝突の危険性を指摘し、中国側に抗議した。岩屋大臣はこの事案について深刻な懸念を表明し、再発防止を求めた。

また、岩屋大臣は、尖閣諸島周辺を含む東シナ海情勢の悪化や、海警船搭載ヘリによる領空侵犯、空母活動範囲の拡大、一方的な資源開発などについても中国側に対応を求めた。邦人拘束問題についても、日中間の人的交流や国民感情の改善を阻害する要因であると指摘し、拘束されている邦人の早期釈放を要請した。

台湾海峡の平和と安定については、岩屋大臣が日本を含む国際社会にとって重要であると述べ、台湾周辺での大規模軍事演習に懸念を示した。南シナ海情勢についても深刻な懸念が表明された。

両外相は、北朝鮮の核・ミサイル問題や拉致問題への対応、中東情勢についても意見交換を行い、対話による問題解決の重要性を確認した。

なお、こうした対話の継続は従来からの外務省の日中外交方針を踏襲するものであり、今後も対話を重視する姿勢を維持する見通しだ。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。