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米空軍最新ステルス爆撃機 B-2とB-21の違い・強みを徹底比較

2025/07/15
更新: 2025/07/15

米空軍の最新ステルス爆撃機B-2「スピリット」とB-21「レイダー」は、それぞれ異なる強みを備え、戦略的に相互補完する関係にある。2025年に実施したイラン核施設への攻撃では、B-2が重要な任務を担い、バンカーバスター爆弾の搭載能力を活用した。両機のステルス性能や運用コストの相違点にも着目し、その特徴を詳述する。今後の米空軍戦略において、B-2とB-21の果たすべき役割と最適な運用方針を明確に提示する。

B-2「スピリット」ステルス戦略爆撃機は1989年7月17日に初飛行を遂げた。2025年6月、イランの核施設への攻撃を成功させたのは、大規模な近代化改修を受けた7機のB-2「スピリット」である。B-21「レイダー」には不可能な任務、すなわち3万ポンド(約1万3600キロ)のGBU-57バンカーバスター爆弾を2発投下するという作戦を遂行した。

B-21は2030年代初頭にB-2の後継機として配備する予定だが、GBU-57を1発しか搭載できないという制約がある。この点は極めて重大な問題であり、B-2や、同様に近代化改修を施した1950年代開発のB-52爆撃機が今後も数十年にわたりアメリカの戦略的利益を支えるべき根拠の一つである。

2発のGBU-57を搭載可能であることにより、フォルドーやナタンツ攻撃に参加した7機のB-2は、14機のB-21が必要とする後方支援よりもはるかに少ない支援で作戦を遂行できた。また、GBU-57による攻撃では、フォルドー施設の弱点である換気口を狙うことで、巨大な破壊力を効果的に活用した。この事実は、GBU-57の威力に加え、防御システムの脆弱性を突く必要性が成功の鍵となったことを意味する。換気口という弱点が存在しなければ、厚さ250フィート(約76メートル)の岩盤に守られたフォルドー核施設は、12発のGBU-57をもってしても破壊あるいは深刻な損傷を受けなかった可能性が高い。

このような分析は、より強力なバンカーバスター爆弾の開発が急務であることを示唆する。物理的特性上、バンカーバスターは質量の増加によって貫通力が飛躍的に向上するため、今後はより大きく重い爆弾を開発し、その特性を活かす必要がある。

たとえば、2千ポンドのBlue-109弾頭を搭載したGBU-31v(3)b型バンカーバスターは約2メートルの鉄筋コンクリートを貫通可能である。一方、3万ポンドのGBU-57は、GBU-31v(3)bの15倍の重量を持ちながら、貫通深度は約30倍に達する。すなわち、重量が1400%増加した結果、貫通力は2900%向上している。

B-2の実力

この論理に基づけば、B-2の最大有効搭載量は6万ポンドに達し、B-21の3万ポンドと比較して極めて大きな利点を持つ。将来的には、より強力なバンカーバスターを運用する上でB-2の優位性が一層明確になると見られる。任務遂行の効率も高く、B-2は1機でB-21の2機分の任務をこなせる能力を備えており、B-2にしか実行できない作戦も存在する。

一方、B-21はより小型で先進的な設計となっており、飛行および維持にかかるコストも低い。小型化によりVHFなど長波長レーダーに対するステルス性に課題が生じる可能性があるものの、全体としてB-2を上回るステルス性能を備えているとされる。空軍はB-21がより小型で航続距離も長いと主張しており、事実であれば大きな利点である。

しかしながら、B-2は当初から極めて高いステルス基準を満たすよう設計されており、機体構造の強度維持に加え、アビオニクスやレーダー、ステルス素材に対しても数十億ドル規模のアップグレードを実施してきた。これらの結果、B-2はいまなお最も高いステルス性を有する作戦機であり、F-35を凌ぎ、F-22よりも優れた隠密性を維持している。さらなるアップグレードによって、今後も数十年にわたる運用が視野に入る。航続距離に関しても、最大搭載量の50%(3万ポンド)を搭載したB-2は、同じ搭載量のB-21と比較してより広い作戦半径を確保できる可能性がある。

今後の米空軍戦略と両機の役割

したがって、B-21が正式に配備されるまで、B-2は引き続き最も高いステルス性を持つ現役作戦機として機能し続ける公算が大きい。B-21が導入された後も、B-2に代わって遂行できる任務の範囲がどこまで広がるかが重要な論点となる。確かにB-21のステルス性能は、先進素材によってアップグレードされたB-2よりも優れると予想するが、対ステルス技術が急速に進歩している現状では、B-21単独で敵防空網を突破し、確実に目標を破壊するという楽観的な見通しは現実的でない。

今後の戦場では、B-2・B-21双方にとって危険すぎる空域、両機が活動可能な空域、そしてB-21のみが進入可能でB-2には危険な空域がそれぞれ存在する構図となる可能性が高い。

このような情勢に鑑みれば、米空軍は現在運用中の19機のB-2爆撃機を最大限に維持・改修し、B-21と並行して運用すべきである。この方針によって、B-2の優れた搭載能力と、B-21の低コスト・高ステルス性能を戦術的に組み合わせることが可能となる。

この戦力構成により、B-21の調達数は一定程度抑えられる可能性はあるが、調達政策の目的は請負企業の満足ではなく、納税者の利益を最大化することである。ゆえに、米空軍は合理的な戦略判断として、B-2とB-21を補完的に運用する道を選ぶべきである。

国防改革を中心に軍事技術や国防に関する記事を執筆。機械工学の学士号と生産オペレーション管理の修士号を取得。