中国では、ますます多くの外国籍の人々が中国からの出国を制限されており、国際社会の強い関心を集めている。最近では、米国ウェルズ・ファーゴ銀行の幹部や米国商務省の職員が、何の警告もなく中共当局によって出国を禁止された。海外メディアは、中共が「出国禁止令」を頻繁に使用していることが、外国資本の中国進出に対する懸念をさらに深めていると指摘している。
近年、中共当局は、海外在住の中国人や中国を訪れる外国人に対して頻繁に出国禁止令を科しており、中国へのビジネスや観光の安全に関する広範な懸念を引き起こしてきた。今年7月だけでも、2人の米国市民が出国を制限された事例が注目を集めている。そのうちの1人はウェルズ・ファーゴ銀行の幹部である茅晨月氏、もう1人は米国商務省の職員だ。
中共当局には、出国禁止令の完全な記録が存在しないが、中共最高人民法院のデータによると、2018年以降に出国を制限された人数は年々増加している。
ロイター通信の報道によれば、茅晨月氏は中国側から、いわゆる刑事事件への関与を指摘されたが、当局からは詳細が明らかにされていない。
茅氏はアトランタ在住の米国市民で、ウェルズ・ファーゴ銀行に10年以上勤務し、国際ファクタリング業務の立ち上げに協力してきた。中国の輸出入企業業界では一定の影響力を持つ人物だ。事件が明らかになった後、ウェルズ・ファーゴは全従業員の中国出張計画を全面的に停止した。
もう1人の出国を禁じられた米商務省職員は、親族訪問のために中国を訪れていたが、その後出国を制限された。4月中旬以降、中国を離れることができず、中共の安全部門による尋問が続いている。米国大使館は本件を密接に注視しており、外交ルートを通じて中国側に対し即時釈放を要求している。
米国に拠点を置き、中国の人権状況を監視しているNGO「対話基金会」のジョン・カム氏は、現在、中共による出国禁止令の乱用が激化しており、少なくとも30〜40人の米国市民が出国を制限されていることが確認されていると述べている。ただし、実際の数はさらに多い可能性があるとも指摘している。これらの禁止令は、明確な法的手続きを伴わないことが多く、適用範囲も広く、執行過程も透明性に欠けているようだ。
中国の人権問題に焦点を当てる非営利団体「保護衛士」は報告書の中で、2018年から2022年の間に中共が出国制限の法的根拠としている法律が10本から14本に増加したことを指摘している。2018年に改正された「監察法」では、調査を受けている本人やその関係者に対して、被疑者でなくても出国制限を課すことが認められている。
こうした中共の措置は、海外在住の中国人に普遍的な不安感をもたらし、中共に対する不信感を一層強めていると分析されている。また、資産の急速な移転や、中国への投資計画の見直しを促す要因にもなっていると考えられる。
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