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中国 少女への残虐な暴行が火種に

中国四川省で民衆が怒りの蜂起 政府前で数千人が抗議【動画あり】

2025/08/07
更新: 2025/08/07

いま、中国で「江油事件」が大きな話題となっている。四川省・江油市で少女への暴行事件が発覚し、それをきっかけに数千人の市民が抗議に立ち上がった。当局はこれを暴力的に鎮圧し、現地では流血の事態に。ネット上では厳格な情報封鎖が敷かれ、事態の深刻さが一層浮き彫りになっている。

事件が発生したのは7月下旬。14歳の少女が建設中の建物に連れ込まれ、衣服を脱がされ、罵倒されながら集団暴行を受ける様子が撮影された。この動画を加害者側がネット上に投稿したことで世間の怒りが沸騰している。

 

少女が暴行を受けている様子。ネットに拡散された動画より(スクリーンショット合成)

 

被害少女は以前から同じグループに繰り返しいじめられていたが、未成年を理由に加害者は警察に連行されても釈放され、処罰されることはなかった。少女の母親は聴覚障害者、父親は農民という家庭事情も無視され、今回も警察は訴えを放置。8月2日に動画が拡散されるまで、当局は一切動かなかった。

 

(ネットに拡散された少女が暴行を受けている様子の動画)

 

4日、市政府前には数千人の市民が集まり、「加害者を厳罰に」「共産党は退陣せよ」と抗議の声を上げた。彼らの多くは少女の家族とは無関係だったが、長年積み重なった権力の横暴や司法の不公正、弱者切り捨ての社会への不満が爆発した。多くの時事評論家は「これは一人の少女への共感を超え、『もう黙っていられない』という良心の声だ」と指摘している。

 

2025年8月4日、中国四川省の江油市で数千人の市民が市政府前に集まり抗議。当局の鎮圧により流血の事態となった。(スクリーンショット)

 

地元政府は一時、市庁舎内で抗議者との対話を試みたが、すぐに態度を一変。推定1千人以上の武装警察が現場に到着すると、警棒や催涙スプレーを使った暴力的な鎮圧が開始された。市民は殴打され、家畜運搬車に押し込められて連行される様子が動画で拡散された。

夜には抗議の歌や怒号が飛び交い、警察と市民が対峙。日付が変わる頃、当局は強制排除を行い、抵抗する市民を次々と拘束した。ネット上では「江油」という地名すら検閲対象となり、「醤油」といった隠語が用いられるようになった。民衆の怒りはもはや個人事件にとどまらず、制度全体への不信と抵抗へと発展している。

 

(警察が抗議する市民を暴力的に鎮圧する様子。2025年8月4日撮影)

 

時事評論家の秦鵬(しん・ほう)氏は「今回立ち上がったのは被害者の家族でも運動家でもなく、ただの一般市民だ」と述べ、義憤が市民を突き動かしたと分析する。同じく評論家の唐靖遠(とう・せいえん)氏も「中国では校内暴力が日常的に起きているが、ここまで大きな反響を呼んだのは異例」と指摘。中共体制下で社会は乾いた薪のように不満を蓄積し、小さな火種で大火に発展しかねない危うさをはらんでいると警鐘を鳴らした。

 

 

また、四川省内では同時期に生活コストの上昇に抗議して道路封鎖を行った別のデモも発生しており、六四天安門事件の元学生リーダー・王丹氏は「道徳的怒りと生活的怒りの両方が爆発しており、社会は地雷源のような状態だ」と語る。

今の中国は、小さな火花一つでいつでも炎上しうる不安定な局面に差し掛かっている。

 

警察が抗議する市民を暴力的に鎮圧する様子。2025年8月4日撮影(スクリーンショット)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!