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オピニオン 中共の嘘に騙されないように

抗日戦争に勝利したのは「中華人民共和国」ではなく「中華民国」だ

2025/08/28
更新: 2025/08/29

現在、中国本土では毎年9月に「抗日戦争勝利記念日」が盛大に祝われている。しかし、その勝利の主体を中国共産党であるかのように描く中華人民共和国政府の歴史宣伝は、史実と大きな乖離がある。抗日戦争における勝利の主体は誰だったのだろうか。

1945年9月2日、米戦艦ミズーリの艦上で日本が降伏文書にサインした。その時はまだ中華人民共和国は存在していなかった。当時、日本と全面戦争を戦い、莫大な犠牲を払って勝利を収めたのは、蒋介石が率いる「中華民国」政府であった。

1937年の盧溝橋事件を契機に日中全面戦争が始まると、日本軍との正面戦闘を担ったのは一貫して国民党軍であった。上海、南京、武漢、そして臨時首都の重慶へと続く長期にわたる戦闘で、国民党軍は数百万の兵力を投入し、その戦死者は戦時中の国民政府の記録によると、1947年に公表された数値は、戦死約133万人、負傷177万人、行方不明13万人、疾病死亡42万人である規模に達している。特に長沙会戦や徐州会戦といった大規模な会戦は中国戦線の主要局面を形成し、国民党軍の熾烈な抵抗がなければ、日本軍の進撃を食い止めることは不可能であった。

これに対し、毛沢東率いる紅軍(中国共産党軍)は、国民党軍の包囲攻撃にあい、瑞金根拠地を放棄して1934年に長征に出た後、一部部隊が根拠地維持のために残留し、表向きは敵後方でのゲリラ戦を掲げたが、その実態は限定的であった。

共産党軍は日本軍との大規模な正面戦闘を意図的に回避し、その後、第2次国共合作で国民党軍の攻撃から逃れると、主眼を抗日を名目とした農村部での勢力拡大と、来るべき国民党との内戦への備えに置いていたとされている。

そのため、戦死者の数も国民党軍とは比較して少ない。抗日戦争の勝利は、中華民国軍の犠牲と、米英をはじめとする連合国の多大な援助、そして日本の全体的な戦局悪化が重なった結果であり、中国共産党が果たした役割は周縁的なものにとどまった。

当時の国際社会が、誰を中国の正統な代表とみなし、戦争のパートナーとしていたのか。

米国の義勇航空隊「フライング・タイガース」が支援したのは国民党軍であり、膨大な援助物資もまた、重慶の中華民国政府へ送られた。さらに、戦後の国際秩序を構想した1943年のカイロ会談において、連合国の一員として「戦勝国の代表」の席に着いたのは、共産党の毛沢東ではなく、中華民国の蒋介石であった。これらの国際的な記録は、戦争を戦い抜いた主体が中華民国であったことを動かしがたい事実として示している。

では、なぜ史実と異なる歴史宣伝が現代中国でまかり通っているのか。その原因は、抗日戦争終結後の国共内戦にある。中国共産党は日本の敗戦後、旧日本軍の兵器や補給物資を奪い、軍備の強化に活用し、特に満州や華北では、日本軍の倉庫や駐屯地から武器・弾薬・装備を入手し、これを紅軍(後の人民解放軍)の近代化と戦力増強に役立てたとされる。

日本に勝利した中華民国は、その後の内戦で共産党に敗れ、1949年に台湾へ政府を移転した。同年10月1日、中国共産党は中華人民共和国を建国した。つまり中華人民共和国の建国は日本が敗戦した、4年後であり、現在、そのことを覆い隠して抗日勝利80年を世界に宣伝している。

台湾に移った中華民国政府は、戦後の日本との関係安定を重視し、特に1972年の日台断交以降は「抗戦勝利」の記憶を政治的に利用することを避けてきた。この結果、抗日戦争勝利の「物語」を語る主体が不在となる歴史の空白が生まれた。この空白を埋める形で、中華人民共和国は「勝利の記憶」を一方的に継承し、独占した。

中国共産党にとって、抗日戦争の歴史は自らの統治の正統性を裏付けるための極めて重要な政治的資源である。建国以来、党は「抗日戦争を主導し、民族を救ったのは我々である」というプロパガンダを繰り返し行ってきた。

毛沢東から習近平政権に至るまで、「抗戦勝利」は中国共産党が国家を救った歴史的証左として、愛国教育の中核に据えられてきた。しかし現在のような反日感情を高める愛国教育を強力に推進したのは江沢民であった。

毛沢東自身は国民党軍を抑えた日本軍の撃退を評価し、「日本に感謝する」と公言したこともある。抗戦勝利の宣伝は、史実の忠実な反映ではなく、国内統治の正当化に資する政治的物語として構築されたものである。

抗日戦争に勝利したのは甚大な犠牲を払った中華民国であり、中華人民共和国による戦勝の主張は史実の「盗用」ないし改ざんに等しい。戦争の記憶を未来へ正しく継承するには、政治的プロパガンダを排し、国際的な記録と客観的な事実に基づいた歴史評価が不可欠だ。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
現代中国は中国共産党であって、もともとの中国とは全く違くものだ。日本に一番残っていると言われる中国共産党以前の中国の素晴らしさを伝えます。