9月11日、中国の俳優・于朦朧(アラン・ユー)が北京の集合住宅の一室から転落死した。警察は「事件性なし」と結論づけたが、友人宅での酒席後に不自然な状況で亡くなったことから、疑念は消えない。
中国の芸能界には、権力者に逆らえない「潜規則(性的な接待)」が存在することは有名だ。若手に限らず多くの芸能人がこの暗黙のルールを強いられるケースもあり、今回の死も、この「潜規則」に関係し、これを拒んだことが命を落とす結果につながったのではないか、また政治的にも影響力のある大物権力者が絡んでいるのではないかと、ネット上ではもっぱらの噂だ。

かつて于朦朧と共演した35歳の俳優、李亭哲(り・ていてつ)氏は、9月16日夜にライブ配信を行い、当夜の食事会に参加していた関係者に真相を語るよう呼びかけた。しかし、この配信は後に7日間停止されたことが明らかになった。
于朦朧の件をめぐり、香港の俳優・陳曉東氏もSNSで「率直に語るのがそんなに難しいのか?」と当時の参加者に憤りをぶつけ、公正な調査を求めた。しかし、この投稿もすぐに当局によって削除された。
9月17日、于朦朧の師匠で台湾の著名マネージャー・孫德栄氏はFacebookで、「今回の事件は、芸能界や政治的権力の上層部が動いていることを示している。食事会の参加者は完全に秘密扱いで、名簿すら公開されない。いったい何を恐れているのか」と憤りをあらわにし、「皆さんはどれだけの圧力がかかっているか知らないだろう。于朦朧を傷つけた資本家の権力はあまりにも強大で、警察さえもコントロールされている」と訴えた。
転落当日に酒を共にした多くの関係者のみならず、業界全体が口を堅く閉ざし、事件に関連する投稿や関連記事は次々と削除されている。その沈黙は何を意味するのか、真相はいまも深い闇の中にある。

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