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中国 習近平政権の不安定さを露呈?

習近平を連想させる禁書『崇禎伝』 中国で復活販売

2025/09/28
更新: 2025/09/29

かつて習近平を連想させるとして販売禁止になった歴史書が、中国でひそかに復活した。

問題の書籍『崇禎伝』は、中国・明の末期(17世紀前半)の「勤勉すぎて国を滅ぼした皇帝、崇禎帝(すうていてい)」を描いたもの。2016年に出版された『崇禎往事』の改訂版で、タイトルを「勤政的亡国君(勤勉すぎて国を滅ぼした君主)」と強調したところ、発売直後に「印刷上の問題」という名目で全国一斉回収となった。表紙には「愚策に次ぐ愚策。勤勉であればあるほど国は滅びる」とのコピー。誰を指すのか、あえて説明する必要はないだろう。

崇禎帝は宦官(去勢された宮廷役人)を排除し倹約に努めたが、猜疑心から忠臣を失い、最後は首を吊り、孤独な最期を迎えた。残ったのは無能な取り巻きばかり。380年前の史実が、どういうわけか現代の中国人の目には「そっくりそのまま習近平に重なる」と映ってしまうのだから厄介である。

なぜ両者が重ねられるのか。習近平も「反腐敗運動」で敵を排除し、表向きは勤勉に働いているように見える。しかし猜疑心の強さから有能な人材を遠ざけ、忠誠だけを誇る人物を重用した結果、政策は次々に裏目に出た。経済は停滞し、外交は孤立し、党内の不満は増大。それでも本人は「自分こそ救国の指導者」と信じて突き進む――まさに「勤勉さが国を滅ぼす」という皮肉な構図である。

 

2023年10月、『崇禎:勤政的亡国君』の回収通知がネットで話題に。(スクリーンショット)

 

いま中国経済は深刻さを増している。財政部の発表によれば、2024年末時点で政府の債務総額は年間国家予算(約27兆元)の3倍をはるかに超える規模の92.6兆元(約1,940兆円)に達した。「財政が破綻寸前だ」と専門家は指摘する。米国の退役空軍少将ブレイン・ホルト氏も「中共は崩壊の瀬戸際にあり、習近平は最後の執政者となる可能性がある」とまで言い切った。

当局は本を消すことで連想を封じたつもりだろうが、逆に「習近平=崇禎」のイメージを国民に焼き付けてしまった格好だ。ただ一つ確かなのは、当局の「禁止」というスタンプこそが最高の広告になってしまうことである。

では、なぜまた販売が復活したのか。体制の統制力が弱まった兆しか、意図的なガス抜きなのか、それとも市場管理のほころびか――真相は明らかではない。

 



回収された歴史書「亡国の君主」 人気沸騰で価格が高騰、明末に酷似する現代中国

当局によって突如販売禁止になり、今月17日までに全面的に回収された書籍「崇禎:勤政的亡国君(崇禎帝:勤勉な亡国の君主)」。この明末の皇帝である崇禎帝(すうていてい)を題材にした歴史書の価格が今、高騰していることがわかった。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!