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人気俳優転落死事件 中国の闇と情報統制を暴く

2025/09/29
更新: 2025/11/10

中国の人気俳優・于朦朧(ユー・モンロン)氏が転落死した事件は、中国芸能界と権力機構の裏側を象徴する重大スキャンダルへと発展している。芸能界の闇、資金洗浄や国家による徹底した情報統制の実態が次々と浮かび上がり、国内外で大きな反響を呼んでいる。本記事では、事件の経過と新証拠、情報操作の実態、そして中国社会に与える影響まで、徹底解説する。

于朦朧氏の不可解な転落死が、中国国内のみならず世界中で大きな波紋を呼んでいる。本件は9月11日以降に報道され、すでに半月以上が経過しているが、関心は冷めることなく拡大し続けている。単なる一人のスターの悲劇にとどまらない。それは芸能界を取り巻く裏社会の規則、権力者による暴力や性被害、資金洗浄や違法取引の存在、さらには中国共産党(中共)による徹底した統制システムが異常なまでに作用している実態と結び付けられているためである。

「失言」で明るみに出た矛盾

警察発表によれば、于氏は酒に酔った末の飛び降り自殺だ。しかし、現場の映像や音声、関係者の証言、さらには北京警察自身の言い間違いなど、ネット上に拡散している数々の情報はこの説明を覆している。問題の「失言」とは、関係者の前で警察がうっかり「これは刑事事件だ」と発言したものだ。

ネット上での大規模削除

事件発覚後、中国のSNS上では大規模な投稿削除が行われた。微博(ウェイボー)、抖音(ドウイン)、Bilibiliなど主要プラットフォームから、「于朦朧」という名前を一斉に消し始めたのである。まるで消しゴムで一人の芸能人の存在を消し去るかのような徹底ぶりであった。これは国家レベルによる統制の働きを示すものであり、事件が決して孤立したものではないことを象徴している。

キャリア絶頂期に訪れた悲劇

享年37歳の于氏は、芸能活動の絶頂期にあった。彼はインタビューの中で何度も高所恐怖症を語っていた。上海の東方明珠電視塔を訪れた際には「動くこともできなかった」と語っていたほどである。2016年にはドラマ撮影中の事故で右足を骨折し、それ以降、高所作業を避けてきた。そのような人物が自ら飛び降り自殺を選ぶだろうか。この疑問は大きい。フォロワー数が2千万人を超えるスターが不可解な死を遂げたのであれば、一般市民が声を上げる余地はますます狭まるとの懸念が広がっている。

事件のタイムラインと疑惑

複数の証拠と証言を突き合わせると、事件は段階的に進行したことが見えてくる。9月9日深夜、北京の別荘の最上階で于氏は酒を強要され、薬物を投与され、複数の人物に暴行を受けた。翌10日には北京市内の陽光上東小区に移され、5階の部屋で吊るされながら拷問を受け、爪を剥がされるなどの虐待を受けたとされる。そして転落については、6階から突き落とされ、自殺を装った可能性がある。

疑惑の一つは爪の隙間から他人のDNAが検出されたことである。また遺体には針による損傷や鈍器による打撲痕を複数確認している。さらに于氏が200億元(約4160億円)規模の資金を海外に移していたとされ、資金洗浄への関与疑惑も浮上している。これらの状況は、偶発的な事故ではなく、計画的な殺害と隠蔽が行われた可能性を強く示唆している。

生前の異変と最後の配信

ネットユーザーによって発見された生前の動画からは、事件を予感させる異変も確認できた。于氏は芸能界の一部勢力に従わなかったため、過去3年にわたり活動を禁じられたが、2024年には活動を再開し、ドラマ出演など順調な復帰を果たしていた。しかし、今年8月29日を最後にネット上から姿を消し、その後拘束状態にあった疑いが持たれている。最後のライブ配信では、低い声で「助けて」とつぶやき、救助を求める合図を送っていた。

さらに事情通のユーザーが公開した録音には、于氏が飼い犬に向かって「助けて」と語りかけ、その直後に犬の鳴き声と、本人の悲鳴が録音されている。

警察発表の不自然さ

北京警察は于氏が死亡してから12時間後、証人聴取も解剖も行わないまま、「酒に酔ったことによる飛び降り自殺」と発表した。しかし、矛盾した言動から彼らが刑事事件として認識していたことは判明しており、発表が拙速さと不自然さを強調する結果となっている。

宋祖德(中国の映画監督、俳優、作家、そして物議を醸す評論家)氏が「狂気の沙汰」と痛烈非難

于朦朧氏の死後、多くのネットユーザーが、彼の死の直前に現場に居合わせた人に強い関心を寄せている。注目されるのは、そこに見られる異例の反応である。一般的に、命に関わる事件では目撃者や関係者は慎重な態度を取るものだが、今回の場合、彼らは全く恐れる様子を見せず、中国公安当局がネット上の言論に警告を発し始めると、さらに自信に満ちた振る舞いを示した。苗字が「宋」という、ある芸能人はネットユーザーを公然と脅し、「発言には気をつけろ。さもないと自分がどうなるか(死ぬか)分からなくなる」と警告した。

中国の芸能界は表向き華やかに見えるが、今回の件について声を上げる者はきわめて少数である。ただし、沈黙を破る人物も存在した。9月21日、有名な芸能評論家宋祖德氏がメディアに対し、今回の事態を「狂気の沙汰」と厳しく批判し、次のように述べた。海外メディアが次々と報じる一方で、中国国内メディアは一斉に沈黙を守っている。恥を国外にさらし、息子が事件に巻き込まれても母親に声を上げさせず、母親の名を使って文章を書かせ、ネット世論を封じようとしている。こんな狂気が許されるはずがない。「天網恢恢、疎にして漏らさず(てんもうかいかい、そにしてもらさず)」だ。

天(自然・道・宇宙の理)は見逃すように見えて、最終的にはすべてを正しく裁く」この異常な男は必ず刑務所に入るべきだ、と。しかし、この投稿はわずか5分後にネット上から削除された。

香港の歌姫が『イカゲーム(韓国発のサバイバルスリラー・ドラマ)』だと批判

中国大陸の多くの芸能人が沈黙するなか、香港の歌姫、甄妮は9月22日、Facebookに「現在の中国大陸芸能界はまるで『イカゲーム』のようだ。資本が全てを支配し、芸能人は冷酷に操られている」と投稿した。さらに「これは自滅へ向かう荒唐無稽な時代だ」と嘆いた。

中国の芸能界は華やかで多くのファンに囲まれ、名誉や利益を享受しているように見えるが、その裏には闇の資金帝国が存在していると指摘する。「于朦朧」という名前が消されたことは氷山の一角にすぎない。その背後には芸能事務所、広告契約、ライブ配信収入、演出契約などが複雑に絡み合い、巨大な資金ネットワークを形成している。金と権力が結び付くと、スターはもはや偶像ではなく、闇の利益網の一部となるのである。

「于朦朧」の商標には武器が含まれる

ネットユーザーの情報によれば、于朦朧氏は生前、一部の大手芸能事務所が国際武器取引や資金洗浄に関与しているという手掛かりを握っていたとされる。彼がライブ配信で言及したデータ、リスト、資金の流れは、特定の「紅い家系」が主導する闇の資金帝国の基盤を脅かす可能性があった。これが彼の死に対して当局が厳しい情報統制を敷いた理由であると考えられる。于朦朧氏は芸能産業の利益連鎖の重要な結節点であった可能性が高い。

この闇の資金ネットワークでは、過去にも多くの芸能人が不可解な死を遂げており、それはたびたび権力者からの警告や威嚇と受け止められてきた。秘密を暴こうとすれば命を奪われるという構図である。ユーザーの証言によれば、于朦朧氏は兵器取引や資金洗浄の一部の情報を掌握しており、それは単なる小規模な闇取引ではなく、国境を越え巧妙に隠蔽された金融ネットワークだ。

これまでのメディア報道によると、于朦朧氏名義の2つのスタジオはすでに廃業になっている。そのうちの1社は兵器関連の商標も取得していた。噂によれば、中共の特権階級は芸能人を利用し、多数のペーパーカンパニーを使って資金洗浄を行う事例が多いという。東陽鮮萌影視文化スタジオは2016年に設立し、2025年に廃業、資本金はわずか500元であった。もう1社の上海起萌影視文化スタジオは2017年設立、2024年廃業で、出資額は500万元だった。

さらに、于朦朧氏は2017年に「于朦朧」の名義で「第13類 火器・花火」に分類される商標を登録し、業務範囲には武器や火薬が含まれていた。ネットユーザーは「兵器ビジネスに芸能人や一般人が関わることは本来あり得ない、国家の戦争や政治に直結しているからこそ容赦なく封殺されたに違いない」と指摘している。

また、ネットユーザーによれば、于朦朧氏は「范」という男性芸能人と多くの企業に共同出資しており、その業種は医療機器、エンターテインメント、農業、文化など多岐にわたっていた。この范たる人物が9月10日の事件現場にいたとも言われている。さらに事件が公になる前、その人物の銀行口座から200億元もの巨額資金が海外へ移動されていた。これは証拠隠滅の動きと見られると同時に、彼が握っていた証拠が多方面の勢力にとって大きな脅威となり得ることを示している。この利益ネットワークは芸能界の大物数人が支える程度の規模ではなく、関係者によれば「副国家級以上の後ろ盾がなければ誰も関与できない、極めて危険な領域」だという。

ライブ録音の中で、于朦朧氏がかすかに「助けて」と叫ぶ声を確認しており、すでに拘束状態にあったことを示唆している。音声からは恐怖と絶望が伝わり、自らの状況を掌握できないまま追い詰められていたことがわかる。彼は知るべきでない秘密を知りすぎ、それが殺害につながった可能性が高い。

ハッカーが犯人の情報を公開

この事件は中国本土で徹底的に封じ込められているが、海外では大きな反響を呼んでいる。BBCや「今日澳洲(オーストラリア・トゥデイ)」、シンガポールの「海峡タイムズ」などが次々と報道し、さらにハッカー集団も登場した。彼らは犯人に関する情報を入手したと主張し、「真相アーカイブ」を設立。200億元に及ぶ資金洗浄契約や犯人の供述録音をダークウェブに掲載し、56か国語に翻訳して世界へ公開する計画を明らかにした。彼らは闇を暴こうとしているのである。于朦朧氏の死を巡る情報戦は国際的な様相を呈しており、まさに世論戦であり、善悪と真実を巡る戦いとなっている。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
金然