観光地は閑散、サービスエリアのトイレは長蛇の列、高速道路は車でぎっしり。建国記念日の8連休が始まると、中国全土が再び「集団疲労週間」と化した。
中国交通運輸省の予測によれば、この連休中の国内移動は延べ23億6千万人。そのうちおよそ8割にあたる18億7千万人が自家用車による移動とされる。実際、広東省では9月30日だけで約1千万台が高速道路に流れ込み、過去最多を更新した。
一部高速では、動かぬ車列にしびれを切らした人々が車を降り、「苦行」を「娯楽」に変えるという前向きな境地に達した。釣り、麻雀、路上理髪、露店など。高速道路は、いつの間にか「動かぬ娯楽場」と化した。

SNSには、サービスエリアのトイレ前で立ち尽くす人々や、18時間も動かない車列の映像があふれた。それでも「今年こそ渋滞を避けられると思った」という人はなぜか少なくない。根拠は不明だが、毎年そう信じる人が一定数いるのが、中国の不思議である。

そんな中、若者の間で流行しているのが「窩囊(ウォーナン)旅行」。「窩囊」とは中国語で「情けなくやるせない」という意味で、金も気力もなく、ただ気分をまぎらわせるために出かける「節約旅」を指す。
旅に出ても休めず、家にいても働かされる。結局のところ、中国の連休とは「どこへ行くか」ではなく、「どう耐えるか」の問題になっている。
渋滞も行列も、いまや風物詩。人々は笑いながらため息をつく。今年もまた、休みが一番疲れる季節がやって来た。

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