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片山財務相 積極財政を強調 物価対策と歳出改革に意欲

2025/10/23
更新: 2025/10/24

片山さつき財務大臣は就任後の記者会見において、財務大臣としての抱負、高市総理から指示された経済財政運営の方針、そして担当大臣として取り組む重要課題について詳細に述べた。

片山大臣は財務省の活動について、「目に見えて国民に理解・感謝されるような方向」に進んでほしいと強く望んでいると表明。財務省の究極の目的は、単に「財政の帳尻を合わせる」ことだけではなく、「成長する日本を将来に残すこと」、そして「夢や期待が残る国」になるための政策設計や打ち出しが重要だと指摘し、財務省職員にマインドセットを変えることを求めた。

物価対策について片山大臣は、「スピード感と確実性をもって実施していく」方針を示した。対応の具体的な道筋として、まず安定財源が固まるまでの「トランジション(移行)」として、燃料油の激変緩和補助金の基金残高を活用し、年内に「しっかり25円下げる」ことを確実に行うとしている。その後、恒久的な措置に移行することになる。

維新との連立合意にあがっていた租税特別措置・補助金見直しについて、片山大臣は、自民党と日本維新の会との連立合意において「一つの目玉」となる、極めて重要な課題であると位置づけている。

本来業務の推進として、租税特別措置(歳入減)や補助金(歳出)が効果的だったか、無駄であったかをチェックし適正化することは、本来「役所の本務(本来業務)」であるとしながらも、それらの措置や補助金を利用している企業や連立相手(維新の会)などに対しては「慎重に、かつ丁寧に、きめ細かくやらなければならない」として、真摯な姿勢で取り組む意向を示した。

歳出・歳入両面からの改革は、危機管理投資や成長投資にしっかり資金を充てるために必要であると述べた。また、消費税減税の議論(連立合意事項)である2年間限定の消費税減税の法制化検討も盛り込まれた。一方で、消費税は財源に充てられているため、「軽々に扱われるべきではない」と慎重な姿勢を示した。

社会保険料負担を含めた中低所得者対策として挙げた給付税額控除については、最大の課題は「制度設計」にあると述べた。特に、マイナンバーの口座への強制付与がない日本では、給付対象者の「認定」や「迅速な実施方法」の確保が難題であると指摘した。給付税額控除は、高市総理が2021年の総裁選以来掲げる重要政策の一つである。

片山大臣は、制度設計は「税と社会保障の一体改革」に関わるものであり、財務大臣だけでなく厚生労働大臣など複数の大臣が関わるため、現時点では意見が一本化していないとした。真剣に議論を始めることになった以上、きっちりと取り組む意向を示した。

大臣は、財政運営は「責任ある積極財政」の考え方に基づき、力強い日本再生を進めつつ、「財政健全化との両立」を図っていく方針を示した。現在、日本の名目GDP成長率(約4%弱)が国際金利(1.65%)を上回っている状況に言及し、この乖離がある状況においては規律が維持できるという論理的な説明は十分であるとの認識を示した。規律の維持については、プライマリーバランス(PB)の議論に加え、「純債務の対GDP比」を緩やかに引き下げていく形で維持する考えを示した。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます