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米下院 史上最長の政府閉鎖終了法案可決 トランプ大統領の署名へ

2025/11/13
更新: 2025/11/13

アメリカ下院は11月12日、米国史上最長の政府閉鎖を終わらせるための法案パッケージを可決した。  

投票は東部時間午後8時20分頃に行われ、賛成222票、反対209票で承認された。  
賛成した民主党議員には、ジャレッド・ゴールデン(メイン州)、アダム・グレイ(カリフォルニア州)、ドン・デービス(ノースカロライナ州)、ヘンリー・クエヤー(テキサス州)、トム・スオッツィ(ニューヨーク州)、マリー・グルーゼンカンプ・ペレス(ワシントン州)が含まれる。

反対した共和党議員は、トーマス・マッシー(ケンタッキー州)とグレッグ・ステューブ(フロリダ州)の2人だけだ。

同じ法案は月曜日、上院でも民主党上院議員8人の支持を得て可決されている。 

法案は今、ドナルド・トランプ大統領のデスクに送られ、東部時間午後9時45分に署名される予定だ。これにより、43日間の政府閉鎖は正式に終了する。

法案の内容は、2026年1月30日までの政府資金繰りを先送りするほか、農務省、退役軍人省、議会部門の3つの分野を2026年9月30日まで完全に予算づけるものだ。

また、食料支援プログラム(SNAP)と母子栄養支援プログラム(WIC)についても、1年間の全額予算が確保される。これらのプログラムは閉鎖の影響で資金提供が遅れていた。

上院議員への賠償条項が物議

投票に先立ち、共和党議員の多くが民主党と共同で、法案に含まれる物議を醸す条項を非難した。その条項は、上院議員が知らないうちに電話記録を捜査当局に取得された場合、政府を提訴できるというものだ。具体的には、裁判所の令状が出ていても、上院議員に通知がなかった場合、少なくとも50万ドル(約7,500万円)の賠償を請求できる。

この条項は下院共和党内で強い反発を招き、一部の議員が「反対票を投じる」と離反をほのめかした。 ジョンソン下院議長(共和党、ルイジアナ州)は、共和党の議席数が少なく、わずかな離反も許されない状況にある。

党内の不満が強まると、ジョンソン議長は「下院として、この上院条項を無効にする単独法案をすぐに可決する」と約束した。

問題の条項は、バイデン大統領時代に発行された召喚状に関連し、2020年大統領選の結果認定を阻止しようとした動きの捜査が背景にある。共和党のモーガン・グリフィス議員(バージニア州)は、下院規則委員会の公聴会で「民主党の疑念に同意する」と述べ、この条項に批判的だった。

ジョン・ローズ議員(テネシー州)も下院本会議で演説し、上院条項に反対した。  彼は、バイデン政権の司法省が2020年選挙や2021年1月6日の議事堂襲撃事件の捜査でやりすぎたと認めつつも、「この条項は不適切だ」と主張した。「左派の官僚や判事の政治的計算で、選ばれた議員が利益を得るべきではない。国民の税金でそれを賄うのは恥ずべきことだ」とローズ議員は語った。

ジョンソン議長は水曜日の記者会見で、「上院の条項には驚いた。多くの議員が強い意見を持っている」と述べた。

共和党内の亀裂と薄氷の多数

政府閉鎖は、フライトキャンセルや公共サービスの遅れなど、多くの問題を引き起こしており、共和党議員の多くは一刻も早い終了を望んでいる。しかし、上院の賠償条項が党内で分裂を招いている。

ジョンソン議長は、共和党の議席数が219議席と極めて少なく、党派投票では2人以上の離反も許されない状況にある。さらに、アデリタ・グリハルバ議員(民主党、アリゾナ州)の就任が政府閉鎖で遅れていたが、彼女の就任により民主党は214議席に増えた。グリハルバ議員は、性的犯罪者ジェフリー・エプスタイン事件の司法省文書公開を求める強制採決請願(discharge petition)の最終署名者となる見込みだ。

グレッグ・ステューブ議員(フロリダ州)は、法案に反対すると表明し、「上院はジョンソン議長の単独法案など絶対に取り上げない。まさに上院に下院を押しつぶされる典型だ」とXに投稿した。トーマス・マッシー議員(ケンタッキー州)も反対する見通しで、ジョンソン議長は非常に厳しい立場に立たされている。

水曜日の法案投票は、8週間ぶりに下院が本格的に議事を行う初めての機会となった。ジョンソン議長は以前、つなぎ予算法案を可決した後に議会を休会にし、民主党はこれを上院への圧力だと批判していた。

1月にも再び閉鎖の可能性:デラウロ議員

今回の政府閉鎖の主な原因は医療保険問題だ。

下院歳出委員会のローザ・デラウロ委員長(民主党、コネチカット州)は、1月30日にも同じ問題で再び閉鎖が起きる可能性があると懸念している。「心配だ。1月30日には同じ状況に陥るかもしれない。残り9つの歳出法案がある」とデラウロ議員はエポックタイムズの取材に答えた。

民主党は、オバマケア(ACA)の保険料税額控除を1年間延長するよう求めている。この控除は今年末で失効する予定だ。専門家は、控除がなくなれば保険料が数千ドル単位で急騰すると警告している。

規則委員会や本会議での発言で、複数の民主党議員は、来年保険料が数千ドル上がるとの住民の声を直接聞いたと報告した。ハキーム・ジェフリーズ下院院内総務(民主党、ニューヨーク州)は火曜夜、ACA控除を3年間延長する修正案を提出したが、否決された。他の民主党の試みも同様に失敗した。

上院は11月10日にこの資金法案を可決した。賛成したのは、共和党のほぼ全員と、民主党7人、民主党会派の無所属1人だ。賛成した民主党議員は、ジャッキー・ローゼン(ネバダ州)、キャサリン・コルテス・マスト(ネバダ州)、ティム・ケイン(バージニア州)、ジョン・フェッターマン(ペンシルベニア州)、マギー・ハッサン(ニューハンプシャー州)、ジャンヌ・シャヒーン(ニューハンプシャー州)、ディック・ダービン(イリノイ州)、そして民主党会派のアンガス・キング(メイン州、無所属)だ。

日曜夜の投票後、シャヒーン議員は記者会見で、「ACAの税額控除延長が承認されなければ、1月に再び政府を閉鎖することも検討する」と示唆した。

エポックタイムズ記者。主に議会に関する報道を担当。
エポック・タイムズ記者。国政を担当し、エネルギーと環境にも焦点を当てている。核融合エネルギーや ESG から、バイデンの機密文書や国際的な保守政治まで、あらゆることについて書いている。米国シカゴ拠点に活動。