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中国 また暴走、また疑念 

中国でまた暴走車 当局は「事故」主張も市民は社会報復を疑う=広東省【動画あり】

2025/12/09
更新: 2025/12/09

中国の街で、また暴走車である。広東省広州市花都区で白い乗用車が突然歩道へ突入し、通行中の人々を次々とはね倒した。

警察は「運転手の急病」と発表したが、現地からもネット上でも「また社会報復ではないか」との声が広がり、市民の不信は深まる一方だ。

事件が起きたのは12月5日夕方だった。防犯カメラの映像には、白い車がまず道路上で別の車に衝突した後、左へ大きくハンドルを切り、高速のまま歩道へ乗り上げる様子が映っていた。

歩道にいた電動バイク利用者や歩行者は、逃げる間もなく次々と車の下に巻き込まれ倒された。車はそのまま街路柱に激突して停止し、運転手は車内から出てくることはなかったという。

 

(現場の様子、2025年12月5日、広州市花都区)

 

現地公安当局は翌6日、「負傷者4人、命に別状なし」と発表し、運転手(43歳、張)については「急病で車を制御できなくなった」と説明した。しかし、多くの市民はこの説明に違和感を抱いている。

現場映像では、倒れたまま動かない市民の姿や散乱した破片が映り、映像が伝える状況は、当局発表よりはるかに深刻だ。そのため、SNS上には「急病であの動きは不自然だ」「また当局お決まりの説明だ」といった声が相次ぎ、説明への不信が広がっている。

中国では近年、生活困窮や借金、家庭不和などを背景に、個人の怒りが社会に向けられる「社会報復」事件が相次いでいる。そのため、こうした暴走が起きると、市民がまず「また社会報復か」と疑うのは、今や当たり前の反応になっている。

一方で、類似事件が発生するたび、中国当局は「精神疾患」「偶発事故」「急病による操作ミス」といった説明で片づけてきた。過去にも同様の事例が繰り返しあり、状況が十分に明らかにされないまま終わることは珍しくなかった。その積み重ねが、市民の不信をいっそう強めている。

「政府が白と言ったら黒だ」「官製メディアの句読点すら信用できない」。こうした皮肉が社会の常用句になっている事実そのものが、当局の公表する情報への信頼が地に落ちている現実を物語っている。

中国当局が、社会不安を招きかねない体制に不都合な真相を自ら明らかにするはずもない。たとえ本当に単純な交通事故である可能性も否定できないとしても、市民はそうは受け取らない。「また何か隠しているのではないか」という疑念が先に立ち、事件は核心が語られないまま幕が引かれることが多い。その繰り返しが、不信をさらに深くしている。

今回も、真実は人々の手の届かないところへ消されてしまうのだろう。
そんな現実を悟る空気が、広州の街に広がっている。
 



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李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!