木原官房長官は12月10日午前の定例会見で、未成年者のSNS利用規制に関する国際的な動向と、日本における今後の対応方針について政府の認識を明らかにした。官房長官は、インターネット利用の低年齢化に伴う深刻な被害への対応を喫緊の課題と捉え、こども家庭庁を中心とした法整備に向けた取り組みを推進する考えを示した。
国際的な制限の動きと国内の深刻な課題
海外では、未成年者のSNS利用を制限する制度化の動きが確認されている。オーストラリアでは16歳未満を対象としたSNS利用禁止法が成立するなど、欧米でも同様の法整備が広がりを見せている状況だ。これは、SNS上での子供のいじめ、犯罪、有害コンテンツの閲覧を防ぐことを狙いとしている。
日本国内においても、インターネットを利用する子供の低年齢化が進んでいる。その一方で、ネット上のいじめや誹謗中傷、児童ポルノ、その他のSNSに起因する子供の被害への対応が大きな課題となっている。政府は、青少年が安全かつ安心してインターネットを利用できる環境整備が極めて重要であるとの認識を持っている。
ただし、官房長官は、他国の制度一つひとつに対してコメントすることは差し控えるとした。
法制上の課題検討へ
政府は、こうした課題認識のもと、具体的な取り組みを既に開始している。
2024年8月には、こども家庭庁に有識者と関係省庁から構成されるワーキンググループが設置され、インターネットの利用を巡る青少年の保護のあり方に関する課題と論点の整理が行われた。そして、同年9月には、この論点整理に基づいた政府の取り組みを示す工程表が取りまとめられた。
この工程表には、法整備に向けた検討の道筋が示されている。具体的には、有識者会議等における法制上の課題の検討、各種ヒアリング、および調査研究などを実施することとされている。
官房長官は、この工程表に沿った検討を着実に進めていくことが重要であるとの考えを示した。
日本政府は、今後、こども家庭庁主導のもと、法制上の課題の検討を本格化させることが予測される。工程表に基づく検討が進むことで、SNS利用の制限や、サービス提供者に対する規制強化など、青少年をインターネット上の危険から守るための新たな法制度が構築される可能性がある。
一方で、規制を巡っては、言論の自由とのバランスや、子供のデジタルリテラシー教育の推進、また、子供たちの居場所を奪うことへの懸念といった、様々な論点があることが指摘されており、これらの課題を慎重にクリアしながらの議論となろう。政府は、工程表に基づき調査研究やヒアリングを進めることで、これらの懸念点にも配慮しつつ、国内外の動向を鑑みた具体的な法整備のあり方を模索していくものと見られる。
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