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金1グラム2万5015円で過去最高 国際市場も史上高 6千ドル観測浮上

2025/12/24
更新: 2025/12/24

田中貴金属工業が24日午前に公表した金の小売価格は、1グラム=2万5015円と史上最高値を更新した。

国際市場でも金・銀・プラチナは12月23日、そろって過去最高値を記録した。世界的な債務の急増に伴う通貨価値下落への警戒感に加え、工業需要の拡大が追い風となり、貴金属相場は一段高の展開となっている。市場関係者の間では、金価格が将来的に1オンス=6千ドル(約3万円/グラム)に達する可能性も指摘されている。

米東部時間23日午後1時51分時点で、現物金は前日比0.8%高の1オンス=4478.52ドルとなり、取引時間中には4497.55ドルの過去最高値を付けた。

リバモア・パートナーズの最高投資責任者(CIO)デービッド・ニューハウザー氏はCNBCのインタビューで、「貴金属は長期的に見て依然として割安だ。世界的に債務が膨張する中、投資家は通貨価値の下落に備える必要があり、金価格にはなお上昇余地がある。6千ドルに到達する可能性も否定できない」と述べた。

調査会社SPエンジェルも、各国中央銀行が外貨準備の分散を進めていることを背景に、来年には金価格が1オンス=5千ドルに近づくとの見方を示している。

ゼイナー・メタルズのピーター・グラント副社長兼シニア・メタルストラテジストはロイター通信に対し、「市場はすでに5年連続で供給不足が続いており、工業需要も拡大基調にある。安全資産としての需要や、ドル安観測、金利低下も相場を押し上げている」と語った。

2月限の米金先物は0.8%高の1オンス=4505.7ドルで取引を終えた。

銀とプラチナ族金属も大幅高となった。現物銀は年初来で145%上昇し、23日に初めて70ドルの大台を突破した。グラント氏は「次の節目は75ドルだが、年末にかけては利益確定売りによる調整もあり得る」と指摘した。

米国では祝日の影響で今週は取引時間が短縮され、ドル相場が下落している。ドル安は、海外投資家にとってドル建ての貴金属を割安に映し、需要を下支えしている。

プラチナも1オンス=2262.74ドルと過去最高値を更新した。三菱グループのアナリストは、欧州委員会が2035年のガソリン車販売規制を柔軟化する可能性が報じられたことについて「プラチナ族金属の自動車向け需要を下支えする材料になる」と分析している。

地政学リスクの高まりも相場を押し上げている。トランプ米大統領が先週、ベネズエラに対するタンカー封鎖を表明し、軍事行動の可能性にも言及したことで市場の不透明感が強まった。こうした状況が、金など安全資産への資金流入を促している。

地政学的緊張、アメリカの利下げ観測、各国中央銀行による旺盛な金購入、投資需要の拡大を背景に、金価格は今年に入ってすでに約70%上昇している。

李言