ポルシェ 中国で閉店ラッシュ 販売急減で店舗ほぼ半減へ

2025/12/28
更新: 2025/12/28

ドイツの高性能スポーツクーペやSUVなどを専門とする自動車メーカー、ポルシェが中国で「閉店ラッシュ」に直面している。2026年末までに販売拠点を150店から約80店へほぼ半減させる一方、中国での販売台数は26%減、営業利益は99%減と急落。ポルシェがEVシフトを一時的に緩め、ガソリン車重視へとかじを切る。

ポルシェは、北京・石景山の店舗がまもなく閉店することを確認するとともに、2026年末までに中国市場における販売拠点を現行の150店舗から約80店舗へ縮小する計画を発表した。この調整は、中国での販売台数が前年同期比で26%減となり、営業利益が99%減少するという厳しい業績悪化を背景に行われている。

中国メディア『北京商報』の報道によれば、北京石景山ポルシェセンターの販売コンサルタントは、同店舗が来年閉店することを確認したという。現在、この店舗では純電動モデル「タイカン(Taycan)」が、割引後の販売価格で70万人民元台(約1400万円前後)、定価の約75%(25%引き)で販売されている。

ポルシェチャイナはこれに対し、「これは北京地区における小売ネットワーク戦略の一環であり、アフターサービスは今後も維持される」と説明している。今年10月には、北京朝陽ポルシェセンターが開業したが、こちらは2店舗を統合・アップグレードしたもので、北京で初の直営店となる。

ポルシェチャイナのCEO、キルシュ氏は、年末までに販売拠点を150店から120店へ削減し、2026年末にはさらに約80店まで再編する計画であることを明らかにした。重点は、主要都市および主要省へのカバレッジを確保することにあるとしており、わずか2年の間に中国国内の店舗数をほぼ半数にまで削減することになる。

このような大規模な販売網の縮小は、ラグジュアリーブランドの自動車メーカーとしては異例であり、ポルシェが中国市場で大きなプレッシャーに直面していることを物語っている。

販売台数26%減・営業利益99%減 ポルシェを直撃する中国減速

業績データもポルシェの苦境を裏付けている。2025年前3四半期におけるポルシェの中国市場での販売台数は3万2200台にとどまり、前年同期比で26%減となった。2021年のピーク時(9万5千台)と比べると、販売台数はほぼ3分の1にまで落ち込んでいる。

利益面ではさらに厳しい状況である。ポルシェの営業利益は前3四半期で4千万ユーロ(約64億円)にとどまり、前年同期比で99%減となった。中国市場は、その主因の一つとして挙げられている。

こうした逆風の中で、ポルシェは戦略転換を進めている。キルシュCEOは、激しい競争環境を踏まえ、ポルシェはEVの推進を一時的に緩め、再びガソリン車に注力する方針を示した。キルシュ氏は「EVの競争は主に低価格帯で展開されており、高級セグメントでは依然としてガソリン車が重要な地位を占めている」と説明している。

​この見解に基づき、ポルシェは「カイエン(Cayenne)」よりも上位に位置づけられる大型SUVモデルを、まずガソリン仕様で投入する計画であるとされる。