イスラエル・ハマス戦闘 パレスチナ支援寄付金の70%以上がテロ組織ハマスに流用

イタリア ハマスへの資金提供に慈善団体を悪用した疑いで9人逮捕

2025/12/28
更新: 2025/12/28

イタリア当局は12月27日、国内で活動する慈善団体のネットワークを通じてハマスに資金提供を行った疑いで9人を逮捕した。検察と警察の発表によると、この捜査により、パレスチナの人々を助けるための寄付金が大規模に流用され、テロリスト側に流れていた実態が明らかになった。

北部ジェノヴァの検察当局は、容疑者らが「ハマスに所属し、資金を提供した」罪に問われていると述べた。今回の逮捕は2年間にわたる捜査の結果であり、表向きは人道目的で集められた資金が、テロ組織に関連する団体へ転用されていた経緯を追跡したものだ。

イタリア国家警察の声明によると、慈善団体が収集した資金の71%以上が、ハマスやその関連組織に流用されていた疑いがある。捜査当局は、これらの資金がハマスの支援、自爆テロ実行犯の家族への援助、およびテロ関連の罪で拘束されている者への支援に充てられていたと指摘している。

コードネーム「ドミノ」と名付けられたこの作戦は、国家対テロ部門と財務犯罪捜査官が、警察および税務執行機関と連携して実施した。当局は約800万ユーロ(約14億6,800万円)の資産を差し押さえ、容疑者らが計約700万ユーロ(約12億8,400万円)に及ぶハマス関連活動に資金を提供していたと発表した。

警察は、慈善団体を通じて「複雑な資金調達システム」が運用されていたことを突き止め、人道支援目的の寄付の3分の2以上がハマスの金庫に流れていたと付け加えた。

この捜査は、2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃の直後に開始された。当初はそれ以前に報告されていた不審な金融取引の分析から始まり、その後、EUの司法協力機構(ユーロジャスト:Eurojust)を通じてオランダ当局や他のEU諸国との連携へと拡大した。

警察によれば、逮捕された数名はハマスの海外ネットワークのメンバーであるとされ、その中にはイタリア支部のリーダーとされる人物も含まれている。また、別の3人の容疑者はテロ組織への外部支援を行った疑いがある。捜査当局は、関与した一部の者がトルコを拠点とする人物と連絡を取り合い、ガザへの現金送金の仲介役を担わせていたとしている。

イタリア警察は声明で、「傍受された通信内容にはジハード(聖戦)や容疑者の役割・任務に関する言及があり、テロ攻撃で行われた暴力への賛同も示されていた。容疑者のサーバーから回収された文書からは、学生への軍事訓練や『殉教』を称える証拠が見つかった」と述べた。

逮捕への反応

イタリアのジョルジャ・メローニ首相はこの作戦を称賛し、「非常に複雑かつ重要」な成果であると評した。また、人道支援を装って活動していたテロ資金調達ネットワークを解体したとして、法執行機関と情報機関に謝意を表した。

メローニ氏は声明で、「いわゆる慈善団体を通じて700万ユーロ以上の資金をハマスに提供した疑いで9人を逮捕した、この極めて重要かつ困難な作戦に対し、高く評価し満足の意を表したい」と述べた。

さらにメローニ氏は、「パレスチナ人協会」の会長であるモハマド・マフムード・アフマド・ハヌーン容疑者の名前を具体的に挙げた。捜査当局は同容疑者を「テロ組織ハマスの海外部門のメンバー」であり、「ハマス・イタリア支部のリーダー」であると断定している。

イタリアのマッテオ・ピアンテドージ内相は、今回の逮捕により、当局が過激派組織への隠れた支援とみなしていた活動が露呈したと述べた。同氏はXへの投稿で、「この段階で適用されるべき無罪推定の原則を十分に尊重しつつも、パレスチナ住民のための活動という仮面の裏で、真のイスラム主義テロを目的とする組織への支援と関与を隠蔽していた行為のベールが剥がされた」と記した。

容疑者の弁護団からのコメントは直ちには得られていない。一方で、パレスチナ囚人連帯ネットワーク「サミドゥーン」は今回の逮捕に激しく反発し、作戦を非難するとともに、容疑を否定して逮捕を「弾圧的」であると主張した。

サミドゥーンは声明で、「今日の逮捕劇は、パレスチナにおけるシオニストのジェノサイドに対するイタリア政府の共謀と直接関与の最新の事例に過ぎない。イタリアはパレスチナの人々とその存在そのものを包囲し、飢えさせ、犯罪者扱いしようと意図的に行動し続けている」と述べた。

今回の逮捕は、ガザでの脆弱な停戦を巡る外交努力が続く中、ハマスに対する国際的な注目が高まっているタイミングで行われた。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は今月初め、約2カ月前に仲介されたイスラエルとハマスの停戦は間もなく第2段階に移行するとの見通しを示し、そこではハマスの武装解除とガザ地区の非軍事化が含まれると述べた。

ネタニヤフ氏は12月7日、「第1段階を終えようとしている」と述べ、次の段階については米国のドナルド・トランプ大統領と協議すると付け加えた。その後、首相官邸は両首脳が12月29日にフロリダ州にあるトランプ氏の別荘「マー・ア・ラゴ」で会談する予定であることを認めた。

ガザでの戦争は、2023年10月7日にハマス主導で行われたイスラエル南部への攻撃が引き金となった。イスラエル側の集計によれば、この攻撃で約1,200人が殺害され、250人以上が人質として連れ去られた。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。