中国 使っていなくても出火 認証品でも止まらない事故の連鎖

上海の地下鉄ホームでモバイルバッテリー発火

2026/01/27
更新: 2026/01/27

中国・上海の地下鉄15号線、上海西駅のホームで、1月5日、乗客が携帯していたモバイルバッテリーが突然発火した。場所は上海地下鉄の駅構内である。駅係員が消火器で火を消し、けが人はいなかったが、乗客の上着はポケット部分が焼け落ちるほど損傷した。

監視カメラ映像によると、乗客がエスカレーターでホームに降りた直後、上着の左側から激しい炎が上がった。周囲の利用客は驚いて距離を取り、ホームは一時騒然となった。
注目されるのは、このモバイルバッテリーが2025年12月に購入されたばかりで、中国の安全基準を示す3C認証付きだった点だ。事故当時、充電や使用はしていなかったという。

実は、地下鉄での発火事故は今回が初めてではない。2025年11月、中国・湖南省長沙の地下鉄3号線でも、乗客のバッグに入っていたモバイルバッテリーが突然発火し、衣服に燃え移って車内が白煙に包まれる騒ぎが起きた。このときは非常時にもかかわらずドアが開かず、乗客が逃げ場を失ってパニックに陥った様子が映像で拡散され、「またモバイルバッテリーか」「何度目だ」と不安と批判の声が一気に広がった。

地下鉄に限らず、中国ではモバイルバッテリーの発火・爆発事故が各地で相次いでいる。2024年12月には上海の女子学生寮で、充電中のバッテリーが爆発し、机や電子機器が焼損した。2024年10月には広東省潮州市の住宅でも、充電中のバッテリーが爆発し、室内の一部が大きく損壊した。

航空分野でも深刻だ。中国の航空当局系の安全研究機関である中国民航科学技術研究院の統計によると、2025年上半期だけで、機内に持ち込まれたモバイルバッテリーによる発火や発煙の事故は少なくとも15件確認された。これを受け、中国当局は3C表示のない製品、表示が不明確なもの、またはリコール対象品の持ち込みを禁止したが、今回の上海のように、認証品であっても事故が起きている現実は不安を消していない。

地下鉄、住宅、航空機内と、場所を選ばず繰り返される発火事故。今回の上海の一件は、「使っていなければ安全」「認証があれば大丈夫」という前提がすでに崩れていることを、改めて突きつけた形だ。日常的に持ち歩く小さな機器が、いつ火を噴くかわからない現実が続いている。

こうした事例を踏まえると、日本でも流通している中国製のモバイルバッテリーについて、使用状況や保管方法を含め、改めて注意を払う必要がありそうだ。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!