北京による軍トップの粛清 安定性に疑問符 専門家の見解

2026/01/26
更新: 2026/01/26

1月24日、中国共産党(中共)は、国内で最も影響力のある軍高官2名——中央軍事委員会(CMC,Central Military Commission)副主席の張又侠と統合参謀部参謀長の劉振立——に対し、「重大な規律および法律違反」の疑いで調査を開始したと発表した。

異例の速さと規模で行われたこの動きは、中国内部に精通した関係者や観測筋の間で憶測を呼んでいる。その多くは、これが単なる汚職事件ではなく、中共軍の指導部レベルにおける政治的危機の反映であると考えている。

迅速かつ高レベルの粛清

張と劉は、中国の制服組の中で最も権力を持つ将校に数えられる。張は政治局員であり、2人しかいないCMC副主席の一人として、中共党首・習近平による軍掌握の要と長年見なされてきた。劉はCMC委員であり、統合参謀部参謀長として解放軍全体の作戦指揮を統括していた。

専門家によれば、2人の姿が消えてからわずか数日で実名公表に至った今回の解任劇は極めて衝撃的であり、北京が明確かつ即座に信号を送ることを急いでいたことを示唆している。

対照的に、2025年初頭に前CMC副主席の何衛東が公の場から姿を消した際、共産党が正式に調査を発表するまでには数ヶ月を要した。

先週初め、両名は省・部級幹部を対象としたハイレベルな政治セミナーの開会式と閉会式を揃って欠席し、公式発表前から憶測を呼んでいた。張の最後の公式確認は2025年12月22日で、習が署名した命令を読み上げ、高級将校を上将へと昇進させる儀式を主宰していた。

クーデター阻止の疑惑

北京からの透明性が欠如する中、国外の中国人アナリストや評論家たちがその空白を埋めるように様々な言説を展開している。一部では、張と劉が習に対するクーデター未遂に関与していたとの主張も出ている。

中国からベルギーへ逃れた内モンゴル政府の元法律顧問、杜文氏は自身のYouTubeポッドキャストで、張と劉が「党を救う」という旗印の下で軍内部の支持を集めようとしたが、内部通報者によって露見したと述べた。この説によれば、張の同盟者が北京に向けて部隊を動かすことを恐れた習が、制圧のために迅速に動いたという。

杜氏によれば、中共軍の各部隊には厳戒態勢が敷かれ、移動は凍結され、外部との通信も制限された。同氏は、この状況を1949年の政権樹立以来、中共軍の歴史の中で最も緊迫した瞬間であると表現し、習の軍主流派に対する深い不信感を反映しているとした。

米国拠点の政治評論家、蔡慎坤氏はXにて、張のほかに少なくとも17人の高級将校が、精鋭の警備部隊と党の最高規律機関による協調作戦で拘束されたと記し、これを「重量級の軍事的激変」と呼んだ。

マイケル・フリン元米国家安全保障顧問は蔡氏の投稿を引用し、共産党と中共軍内部の混乱は、インド太平洋における米国の外交政策や軍事的姿勢に直接的な影響を及ぼす可能性があると警告した。

内部からの裏切り

他の評論家は、公然たる反乱よりも「裏切り」の側面を指摘している。元記者の曾節明氏は大紀元に対し、今回の突然の発表は、習政権下におけるエリート政治の極端な不安定さを浮き彫りにしたと語った。

「習近平の根深い猜疑心は、毛沢東のそれに酷似している」と同氏は述べている。

約130万人のフォロワーを持つ台湾の人気YouTuber「八炯(パ・チョン)」氏は、張は自身の計画が安全だと信じていたが、身近な人間に裏切られたのだと指摘した。この説によれば、計画が漏れたことを受け、習はクーデターが実行される前に先手を打って、一気に粛清を断行したという。

八炯氏は、迅速な公式発表自体が雄弁であると述べた。もし単なる汚職事件であれば、過去の事例のように公表を遅らせただろう。そうせず即座に発表したのは、張の陣営に同調しようとしていた潜在的な味方や、揺れ動く派閥、あるいは文官たちを威嚇する意図があったと見ている。

戦略的影響

共産党内部の権力闘争を超えて、今回の粛清が地域情勢——特に台湾海峡——に何を意味するかについて、専門家の意見は分かれている。

曾氏は、習による権力のさらなる集中は、台湾への軍事行動の計画を加速させる可能性があると警告する。実戦経験豊富な軍高官が排除されることで、専門的な見地からリスクの高い決断に異を唱えられる者がいなくなるからだ。

一方、八炯氏は、反習派の壊滅は中国を内部不安定化や内戦へと追いやる可能性があるとしつつ、同時に習が「国家統一」という台湾への執着を、国内を団結させる目的でより先鋭化させると論じた。

ネット上で劇的な疑惑が飛び交う中、共産党の権力闘争を過大解釈することに警鐘を鳴らす専門家もいる。曾氏は、権力闘争の結果がどうあれ、それが中国国民の苦しみを和らげたり、共産党の独裁体制の本質を根本的に変えたりすることはないと述べた。

「誰が権力を握ろうとも、共産党に深く縛られていることに変わりはない。共産党が打倒されて初めて、中国は真に変わることができるのだ」と同氏は締めくくった。

中国関連の話題に焦点を当てる大紀元の寄稿者です。