トルコで反トラスト(独占禁止)政策を所管する競争庁が、中国系EC越境大手Temuのトルコ国内オフィスに対し、立ち入り検査を行った。現時点で、当局が正式な独禁法違反での立件に踏み切るかどうかは明らかになっていない。
トルコ当局によると、今回の措置は1月21日未明に実施された「現場検査(オンサイト・インスペクション)」で、正式な反トラスト調査を開始したことを意味するものではないという。Temu側は当局に全面的に協力するとしているが、機器の持ち出しをめぐっては、当局と企業側の説明が食い違っている。
ロイター通信によると、Temuの広報担当者は「トルコ当局に全面的に協力する」と述べた一方、検査の理由については明らかにしていない。ただし、検査の過程でノートパソコンやデスクトップ型パソコンが持ち出されたと説明している。
これに対し、トルコ競争庁はその後、機器が押収されたとの見方を否定し、「事実と異なる」との声明を出した。同庁は、Temuのオフィスで行われたのはあくまで現場検査にとどまるとしたうえで、「現時点で正式な調査が開始されたことを意味するものではない」と強調した。
競争庁はまた、「現在進行中の審査を適切に進めるため、現段階でこれ以上の情報を公表することはできない」としている。
Temuが当局の立ち入り検査を受けるのは今回が初めてではない。昨年12月には、アイルランド・ダブリンにある同社の欧州本部も立ち入り検査を受けている。こうした動きは、Temuが世界各国で規制当局の監視を強められている現状を示しており、市場では同社が中国政府の不公正な補助金の恩恵を受けているのではないかとの見方も出ている。
Temuは、中国のEC大手、拼多多(PDD)グループ傘下の企業で、衣料品や日用品、スマートフォンなど幅広い中国製品を超低価格で世界各国に販売している。「億万長者のように買い物を」をキャッチフレーズに、積極的な販促を展開してきた。
競合のSheinと同様、Temuは中国から海外の消費者へ商品を直接発送するビジネスモデルを採用し、各国の少額輸入品に対する免税措置の恩恵を受けてきた。
しかし近年、こうした低価格の中国系ECプラットフォームの急成長に対し、欧米の小売業者からは、税負担やコスト構造の面で不公平な競争が生じているとの不満が強まっている。
EUは、150ユーロ(約2万8千円)以下の小口貨物に対する免税措置を廃止する方針で合意した。アメリカも昨年、800ドル(約12万7千円)以下の輸入品に対する免税制度を全面的に見直し、電子事前申告の厳格化を含む新たな規制を導入した。これにより、TemuやSheinが長年依存してきた低価格・免税の直送モデルは大きな転換点を迎えている。
トルコ政府も今月初め、30ユーロ(約5500円)以下の輸入品に対する免税制度を廃止すると発表した。政府は、この措置が国内生産の保護や公正な市場競争の確保につながるほか、一部輸入EC商品の安全性や健康面をめぐる懸念への対応になるとしている。新制度は2月初めに施行する見通しだ。
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