トランプ米大統領は、カナダが中国との取引によって「組織的に自滅している」と述べ「中国との合意はカナダにとって大惨事だ」との認識を示した。
トランプ氏は1月25日、交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、カナダは中国との合意によって「歴史上最悪の取引の一つとして記憶されるだろう」とし、企業が次々に米国へ移転していると主張した。その上で「私はカナダが生き残り、繁栄する姿を見たい」と述べた。
この投稿には、カナダ自動車製造業者協会(CVMA)のブライアン・キングストン会長兼最高経営責任者(CEO)が1月21日にオンタリオ州で開いた記者会見の映像が添付されており、トランプ氏は「必見だ」と紹介した。
映像の中でキングストン氏は、オタワ(カナダ政府)と北京との貿易合意について、カナダの自動車産業を損ない、北米で統合された自動車サプライチェーンの将来にリスクをもたらす可能性があるとして、強い懸念を示した。カナダの自動車生産の約90%が米国向けであり、米国市場へのアクセスと北米統合なしに産業は成り立たないと指摘した上で、カナダの自動車産業の将来は米国との貿易関係の確保にかかっていると述べた。また、欧州やアジアの市場は現地組立工場によって供給されているため、多角化は選択肢にならないとも語った。
トランプ氏は同日、別の投稿で、中国が「かつて偉大だったカナダという国を、完全かつ着実に乗っ取っている」とも表現した。トランプ氏はここ数日、カナダの最近の対中合意に懸念を示す投稿を繰り返しており、カナダが中国と取引を行えば、米国に輸出される全てのカナダ製品に100%の関税を課すと警告している。
カーニー首相は今月初めに訪中し、中国政府と一連の合意に署名した。その中には、中国製電気自動車(EV)の輸入関税を、最初の4万9千台について100%から6.1%に引き下げる一方、中国側が少なくとも年末までカナダ産菜種油(カノーラ)に対する関税を引き下げることが含まれている。
訪中中、カーニー首相は、オタワは北京と「戦略的パートナーシップ」にあり、その進展が「新たな世界秩序に向けた良い基盤を築く」と述べ、両国関係が「新たな時代」に入ったとの認識を示した。
トランプ氏の100%関税の警告に対し、カーニー首相は1月25日、記者団に対し、カナダには中国との自由貿易協定(FTA)を追求する意図はないと説明した。
カナダは、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の下で、市場経済でない国とのFTAを事前通知なしに追求しないという義務を負っていると述べた上で、「中国や他の非市場経済国とそうしたことを行う意図はない。中国との間で行ったのは、ここ数年に生じた一部の問題を是正することだ」と語った。
米政権の懸念
ホワイトハウスの「ラピッド・レスポンス」公式SNSアカウントは1月25日、スコット・ベッセント米財務長官がABCニュースのインタビューで発言する映像を投稿した。ベッセント長官は、米国とカナダの市場は「高度に統合されている」と指摘した上で、中国製の安価な製品がカナダを経由して米国に流入する事態を容認できないと述べた。
ベッセント長官はまた、カーニー首相の対応について、ダボス会議に集まるグローバリストの友人たちに美徳を誇示しようとしている以外に何をしているのか分からないとした上で、カナダ国民にとって最善の仕事をしているとは思えないと語った。
トランプ氏自身は当初、中国との新たな合意について、カーニー首相が中国と貿易協定に署名するのは「良いことだ」と述べ、深刻に受け止めていなかったが、政権幹部からは相次いで懸念が示された。
ダフィー米運輸長官は1月17日、X(旧ツイッター)への投稿で、オタワが北京と提携し、中国製EVを市場に導入する決定を「後悔するだろう」と述べた。グリア米通商代表部(USTR)代表も1月16日、CNBCのインタビューで、この合意はカナダにとって「問題がある」とし、米国は自動車労働者を守るため中国製EVに関税を課したと説明した。その上で、長期的にはカナダはこの合意を結んだことを好ましく思わなくなるだろうとの見方を示した。
ラトニック米商務長官も1月22日、オタワが中国との関係を深めれば、今後予定されているUSMCA再交渉を危うくする恐れがあると述べた。
オミド・ゴレイシ氏が本稿に寄稿した。
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