中国で旧正月の恒例行事となっている国営放送の大型音楽番組「春晩」(2月16日放送)が、今年は思わぬ形で物議を醸した。視聴者からは「4時間見て一度も笑えなかった」「もうやめてもいいのでは」といった厳しい声が相次いだ。
番組への不満は内容だけにとどまらない。動画サイトのビリビリは「リアルタイムで画面に流れるコメントを開放する」と事前に告知していたが、実際には批判的な投稿が表示されなかったという指摘が広がった。
視聴者が試しに「つまらない」と書き込んでも画面に出ず、「面白い」と変えるとすぐ表示されたという。そうした様子を検証する動画まで出回り、「下手だ」といった直接的な表現は弾かれた一方、言い換えれば通るという「抜け道」まで共有されている。
今年の番組では人型ロボットの出演が目立ち、歌やコント、演出の随所に登場した。実際の人間による漫才や伝統的な話芸はほとんど姿を消し、「人間味がない」「機械のにおいがする」といった声も上がっている。
多くの視聴者が感じたのは、華やかさよりも違和感である。
豪華な舞台装置も、最先端のロボットもそろった。しかし、それでも心が動かなかったという声が広がっている。
視聴者が求めていたのは、壮大な演出ではない。
家族で笑い合える漫才、思わず吹き出すコント、心にしみる歌、人間のぬくもりが伝わる瞬間だったのではないか。
技術は進化した。しかし、年越しの夜に必要なのは未来感よりも「ぬくもり」である。
今年の大みそか番組「春晩」はその隔たりを象徴していた。
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