中国では旧正月が一年で最も消費が伸びる時期とされる。家族でごちそうを囲み、大量の食材や贈り物を買い込む光景が恒例だった。
しかし2026年の旧正月、市場の様子は一変した。本紙の取材では、「人がいない」「誰も買わない」という声が各地で上がり、消費の空気が変わった実態が確認された。
中部地域の国有企業の住宅区に住む男性は「今年はお金があってもなくても、みんな使わない」と語る。例年なら丸ごとの羊を買う家庭もあり、数千元、日本円で数万円を一度に使うことも珍しくなかった。だが今年は商品は並んでいるのに、買い込む人の姿はほとんど見られないという。
背景には、景気悪化と将来への強い不安がある。失業や収入減、賃金未払いの話が身近に増え、住宅ローンや教育費の負担も重い。
一方で、比較的安定した収入のある家庭でも「先が読めない」として支出を控える動きが目立つ。
北京の繁華街・王府井でも人通りは少ないという。地方出身者の帰省だけでは説明できない静けさだ。
出稼ぎから戻った男性は、家族に羊肉を買ってやることができなかった。「野菜を少し買っただけ。早く明るい時代になってほしい」と語る。その言葉には、生活の苦しさと将来への絶望がにじんでいた。
専門家は「将来の収入見通しが暗いと、人はまず消費を止める」と指摘する。もしこの心理が続けば、2026年も消費回復は難しい。
にぎわうはずの季節に広がる静けさ。それは、景気の数字では測れない「不安の広がり」を示している。
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