違反なら国外追放 スウェーデン政府 移民に「まっとうな生活」義務化

2026/03/25
更新: 2026/03/25

スウェーデン政府は24日、移民に対し「まっとうな生活」を義務付け、違反した場合には国外追放とする法案を提出した。借金の未返済、税金や罰金の滞納をはじめ、暴力的な過激主義とのつながりなども在留許可取り消しの対象となる。

かつて移民受け入れに寛容であったスウェーデンだが、社会統合の失敗により国内に「パラレル社会(並行社会)」が形成され、暴動や犯罪組織の台頭といった深刻な問題を引き起こしてきた。こうした背景から、極右政党の閣外協力を受ける現在の中道右派政権は、移民と犯罪の取り締まり強化に大きく舵を切っている。

こうした動きはスウェーデンに限ったものではない。ドイツでもイスラム原理主義者や移民系住民によるテロ事件が頻発し、国民の懸念が高まった結果、移民排斥を掲げる右派政党「AfD」が躍進している。

長年寛容な政策をとってきたドイツ政府も、不法移民の流入阻止や送還の迅速化へと強硬策に転じ、フランスやオランダなどでも同様に極右勢力が台頭しており、EU全体として国境管理や不法移民の送還を強化する厳しい移民政策への移行が進んでいる。社会統合の失敗が移民への反発を招き、分断を深めるという悪循環に、欧州は今まさに直面している。

日本においても、2025年10月末時点で外国人労働者数は過去最多の約257万人に達し、地域の社会や経済に不可欠な存在となっている。一方で、一部の外国人によるルール逸脱などに対し国民の不安や不公平感が高まっており、これが政治の主要な争点となっている。

こうした中、高市早苗政権は2026年1月に「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」を策定した。高市首相は「排外主義とは一線を画しつつも、政府として毅然と対応する」と述べ、社会の「秩序」を土台とした外国人政策を打ち出している。

具体的な施策は多岐にわたる。永住者の要件には「日本語能力」が追加され、税金や社会保険料を故意に滞納した場合は永住許可を取り消せるようになる。帰化の居住要件も「5年以上」から「10年以上」へと延長され、審査が厳格化される方針である。出入国在留管理庁はマイナンバーなどを活用して税や社会保険料の納付状況を直接把握し、未納がある場合は在留審査を厳格に行う。

また問題視されていた訪日外国人の医療費未払いに関しても、入国規制の対象を「1万円以上」に引き下げるとした。さらに、不法滞在者や重大犯罪者の早期送還を徹底するほか、安全保障の観点から外国人の土地取得に関するルールの厳格化も検討されている。

一方で、政府は技能実習制度に代わる新制度「育成就労」と「特定技能」を合わせ、2028年度末までに最大123万人の外国人材を受け入れる方針を閣議決定した。単なる労働力としてではなく、日本社会のルールを順守して定着してもらうため、国主導での日本語教育の充実や、日本の社会規範・制度を学ぶプログラムの創設など、社会統合に向けた環境整備にも力を入れている。

スウェーデンをはじめとする欧州の事例は、移民の受け入れにおいて社会統合が伴わなければ、並行社会の形成や犯罪の増加を招き、結果として厳しい排斥主義を生み出してしまうことを如実に示している。

高市政権が推し進める「秩序ある共生」は、ルール違反への厳格な対処と日本語・社会教育の提供という両輪によって、欧州が陥った統合の失敗による社会分断を未然に防ぎながら、必要な労働力を確保するという難しい舵取りに挑むものである。その成否が問われるのは、まさにこれからである。