4月4日午前0時すぎ、トランプ米大統領は、イランに撃墜されたF-15E戦闘機のもう1人の搭乗員が救出されたと明らかにした。米軍が命懸けで戦友を救出した行動には大きな称賛が集まる一方、中国共産党(中共)が自国兵士に対し、孤立した際に上官が遠隔操作で起爆できる装置を装備させていた問題にも、あらためて注目が集まっている。
4月3日、米軍のF-15E戦闘機1機がイラン領空で撃墜され、搭乗していた2人は脱出した。1人は同日中に救出されたが、もう1人は行方不明となった。米軍は直ちに捜索救助活動を開始した。4月4日午前0時すぎ、トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、「彼を救出した」と表明したうえで、「私の指示の下、米軍は世界で最も致命的な兵器を搭載した数十機の航空機を派遣し、彼の救出に向かった。彼は負傷しているが、きっと大丈夫だ」と述べた。
新華社通信や「新京報」などの官製メディアは、その前日午前の時点ではイラン側の主張を引用し、米軍が行方不明となったF-15Eの2人目の搭乗員を爆破で殺害しようとしたと伝えていた。しかし、その後まもなく、米兵が米軍によって救出されたとの情報が伝わった。これに対し、中国のネット上では官製メディアへの批判が噴出し、「句読点一つ信用できない」「恥もなく、報道倫理などあったものではない」といった声が上がった。
また報道によると、米軍は2日間にわたる救出作戦で、失った航空機などの損失額が大きかった。内訳は、A-10「サンダーボルトII」攻撃機1機が約1880万ドル、C-130「ハーキュリーズ」輸送機2機が1億5千万ドルから2億ドル、MH-6「リトルバード」ヘリコプター1機が約750万ドル、MQ-9「リーパー」無人機2機が6千万ドルに上るという。
中共官製メディアの中には、この件を「米軍の救出代償は甚大で、失われた航空機の総額は4億ドルを超えた」との角度から伝える見出しもあり、ネット上で大きな論争を呼んだ。
中国のネットユーザーの間では、兵士の救出にあらゆる代価を惜しまない米軍の姿勢を称賛する声が相次いだ。「米軍に命を預ける価値はある」「命は何よりも重い。『プライベート・ライアン』のようで、これもいつか映画化されるだろう」「記事を書いた人は米国をたたくつもりだったのだろうが、逆効果になった」「4億ドルに加え、予測不能な危険まで背負って、負傷しているかもしれない兵士1人を救う。この行動だけでも国民の信頼を得るには十分だ」といった書き込みが見られた。
一方で、中共統治下の中国本土では人権が軽視されているとして嘆く声も少なくなかった。「人命が草のように軽い場所もあれば、金のように重い場所もある。君ならどちらに住みたいか」「4億ドルを費やしてでも1人を見捨てない国もあるのに、ある場所ではまるで逆だ」「米軍は1人を救うために4億ドルを惜しまない。なぜ操縦士に捕虜になるくらいなら戦って死ねとは命じないのか」といった意見も出た。
さらに、中共が開発したある装備を連想する声も上がった。それは、兵士が孤立して連絡不能になった場合、指揮官が遠隔操作で起爆し、その兵士ごと爆破できるという装置だ。
2020年末には、中共チベット軍区が兵士に装備させた作戦システムが議論の的となった。中国メディアの報道によると、問題となった「個人用デジタル化作戦システム」は、ナビゲーション装置、音声通信装置、情報処理機能などを一体化したもので、兵士のヘルメットには衛星アンテナが設けられ、単眼の暗視多機能アイピースが装着されているほか、腕部にはデジタル端末も備えられていた。指揮センターにいる指揮官は、個々の兵士を直接指揮できるとされた。
同システムは、ボタン一つで砲撃を誘導できるほか、仮にインド軍に回収された場合には自爆する仕組みもあるとされた。報道ではさらに、兵士が重傷を負い、捕虜になることを望まない場合、自爆装置を起動すれば軍人としての尊厳を守ることができ、敵にもこのシステムに関する情報を渡さずに済むと説明していた。加えて、指揮官が画面上で特定の兵士が他部隊から大きく離れ、連絡も取れなくなっていることを確認した場合にも、遠隔操作で自爆を起動できるとしていた。
こうしたハイテク装備として宣伝されたシステムに対し、ネット上では「人命を草のように扱っている」「兵士を捨て駒としか見ていない」といった批判が相次いだ。
台湾国防戦略資源研究所の蘇紫雲所長はかつて大紀元に対し、中共が兵士のヘルメットを遠隔爆破できることを誇示しているのは、非常に痛ましい話だと語った。戦争であっても人間性まで失ってはならないとしたうえで、中共が装備の機密保持や、兵士が投降して情報を漏らすのを防ぐため、遠隔操作でヘルメットを爆破して兵士を殺害するのは、「恐怖による統制手段」だと指摘した。こうしたやり方では、長期的に勝ち続けることは難しいとの見方を示した。
中共中央テレビは2013年にも、中共の女性特殊部隊にこの新型作戦システムが配備されたと報じた。さらにそれより前の2012年9月には、中共軍機関紙がすでにこの「個人用デジタル化作戦システム」を誇示し、「わが軍の個人用装備が指揮プラットフォームと連結され、敵の手に渡されば遠隔操作で自爆可能」とする記事を掲載していた。
中共が兵士の命を人間として尊重してこなかったことは、以前から多くの事例で指摘されてきた。国共内戦の時期には、甚大な犠牲を伴う人海戦術を多用したことでも知られる。
2021年には、中共が「抗美援朝(朝鮮戦争)」を題材とした映画『長津湖』を公開し、民族主義の高揚を図った。しかし民間からは、長津湖の戦いに正当性があったのか、また中共が兵士の命を軽視していたのではないかとの疑問の声が上がった。同作が描いたのは、中共が15万の兵力を、防寒着も十分にないまま、氷点下30度を超える朝鮮北部の厳寒地に投入し、多くの兵士が凍死・凍傷したということだ。
2020年6月には、中印国境で衝突が発生した。インドメディアによると、インド側では少なくとも20人が死亡し、中共側の死傷者は35人から43人に上ったとされる。インド軍は直ちに、衝突で死亡した20人の軍人に関する詳細を公表し、手厚い国葬も行った。一方、中共は具体的な死傷者数について言及せず、戦死者の氏名も長く公表しなかった。公開の葬儀も行われず、2021年2月19日になってようやく官製メディアが中共側の被害を「1人死亡、4人負傷」と発表したが、この数字の信ぴょう性には強い疑問が持たれている。
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