人口減少・AI時代を見据えた地域インフラ再構築と人材力強化 第5回経済財政諮問会議「議論の要点」

2026/04/28
更新: 2026/04/28

令和8年4月27日、高市総理のもと総理大臣官邸にて第5回経済財政諮問会議が開催された。本会議では、「日本列島を、強く豊かに」という目標の実現に向け、「経済財政一体改革(非社会保障:インフラ整備、地方行財政等)」と「人材力強化(人材育成、労働市場政策)」の2つの柱について集中的な議論が行われた。人口減少やAI(人工知能)の社会実装といった大きな構造的変化に直面する日本が、いかにして地域のレジリエンス(強靱性)と稼ぐ力を高めていくのか。会議での議論と総理の指示内容から、今後の改革の針路を紐解く。

会議をまとめる高市首相(出典:首相官邸ウェブサイト)

現在の日本は、地方の人口減少(2050年には1万人未満の市町村が4割を超える見通し)、インフラ老朽化の加速、地域経済の担い手不足の深刻化という重大な課題に直面している。また、人材力に目を向けると、AIが得意とする記憶や計算の分野に重点を置いたままの教育システムが残存しており、時代が求める問題設定能力や創造性が十分に育まれていない。さらに労働市場においては、無期やフルタイムといった形で雇用されているにも関わらず、職場で「非正規」と呼称され、不当に賃金が低く抑えられている労働者が数多く存在している。

これらの課題を放置すれば、地域社会や日本経済に深刻な損失をもたらす。インフラ整備において、将来を見据えた優先順位づけや効果的な予防保全を怠れば、激甚化する自然災害に対する地域のレジリエンスは低下する。労働市場においては、フルタイム非正規労働者の構造的な賃金問題を見過ごせば、労働者の意欲低下や経済的格差の固定化を招く。また、AIの急速な普及に対して人材育成が追いつかなければ、戦略分野や地域に不可欠なエッセンシャルワーカー、理数・デジタル系専門人材が決定的に不足し、国全体の「稼ぐ力」やイノベーションの土壌が失われてしまう。

これらの問題の本質は、既存の制度や社会システムが、人口減少やAIの急速な社会実装という時代の変化に適応できず、硬直化している点にある。地方行政においては、国・都道府県・市町村の役割分担が旧来のままであり、自治体の枠を超えた広域連携や複数・広域・多分野のインフラをひとつの「群」として捉え、官民連携手法なども活用して効率的かつ効果的に管理する取組「群マネジメント」が阻害されている。教育・人材育成の面では、初等・中等教育段階からの「教育のOS」がAI時代に適合していないことが根本的な要因である。また、労働市場でも、働き手が主体的にスキルを高め、円滑に労働移動できるような柔軟な雇用体系やセーフティーネットへの転換が進んでいないのである。

高市総理はこれらの本質的課題を打破するため、関係大臣に対して以下の解決策の推進を指示した。

インフラと地域経済の再構築

都道府県の枠を超えた地方公共団体、企業、大学などの多様な主体による広域連携を促進し、産業クラスターの拡大による地場産業の付加価値向上を図る。また、地域経済への影響が大きい官公需における価格転嫁・取引適正化を徹底する。さらに、国・都道府県・市町村の役割を再定義し、デジタル技術(自治体DX/AX)の徹底活用やEBPM(証拠に基づく政策立案)を通じて、効率的なインフラ整備と質の高い財政支出を実現する。

「教育のOS」の抜本的転換

次期学習指導要領の改訂を待たず、それに先行して「AIガイドライン」を速やかに改訂し、AIの社会実装に向けた教育内容を随時アップデートする。加えて、高校教育改革や高等専門学校の新設・拡充、大学の機能強化と量的規模の適正化を通じて、理数・デジタル系人材や地域に不可欠な人材を確実に育成・確保する。

労働市場の流動化と多様な人材の活躍促進

同一労働同一賃金の徹底によって不合理な待遇差を是正し、フルタイムの非正規雇用労働者などが直面する構造的な賃金問題を見直す。雇用のセーフティネットを確保しつつ、リスキリング支援や労働市場の流動性を高める仕組みを総点検し、女性や高齢者を含む誰もが働きやすく、男性の家事・育児参加も拡大できる労働環境を整備する。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。