「検察がそれを言うか!」
中国のネット上で、そんな驚きの声が広がっている。
江蘇省の検察当局が、市民からの訴えを「受理しない」としたうえで、「冤罪は誰にでもある」「もう過去は忘れ、穏やかに暮らしてほしい」と呼びかける文書を送っていたことが分かった。
本来、冤罪を防ぎ、法の公正を守る立場にある検察。その検察が、まるで人生相談のような言葉で市民に諦めを勧めたとして、波紋が広がっている。
問題となったのは、江蘇省検察院が陳情者の呉継先氏に送った回答文だ。文書はまず「受理しない」と通知し、不服がある場合は裁判所へ申し立てるよう案内していた。ところが、その後の文章で突然、雰囲気が一変する。
そこには、「誰もが理不尽な目に遭うものだ」「あなたの案件はすでに過去のこと」「もうこだわらず、穏やかに暮らしてほしい」「これからは心に太陽を持ち、穏やかな日々を過ごしてほしい」などの言葉が並んでいた。
法的な説明というより、自己啓発や人生訓のような内容だったため、SNSで拡散されると大きな話題になった。
この文書を紹介した中国の著名弁護士・張新年氏は、「江蘇省検察院は法治をここまで笑いものにするのか」と批判。「それは法治への諦めであり、司法の良心への裏切りだ。正義は実現できるという信念を否定し、職務放棄を正当化する考え方でもある」と指摘した。
また、「もう忘れて暮らしてほしい」という部分についても、「権利を守ることを諦めさせ、不正に目をつぶれと言っているのと同じだ」と反論した。
そのうえで、「誰もが平穏な暮らしを望んでいる。しかし現実はそうではない。だからこそ守るべきものがある」「検察は世俗を超越した悟りの機関ではない。法律を監督し、冤罪を防ぐために存在している」と訴えた。
ネット上でも「千年に一度の珍文だ」「こちらは法律の話をしているのに、向こうは人生論を語り始めた」「自己啓発と宿命論と道徳的圧力を混ぜたような文章だ」といった批判が相次いだ
中国では長年、冤罪や不公正な判決を訴え続ける人々が後を絶たない。しかし、その訴えの行き着く先であるはずの検察が、「忘れて前を向いてほしい」と語りかけた今回の文書は、多くの人に中国司法の現実を改めて考えさせる出来事となった。

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