厚生労働省が6月5日に公表した4月の毎月勤労統計調査速報によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比1.9%増となった。前月の1.4%増から伸び幅が拡大した。政府の補助金などによる物価上昇の抑制効果に加え、基本給の堅調な伸びが寄与した。
労働者1人当たりの現金給与総額にあたる名目賃金は、前年同月比3.5%増の31万2425円だった。前月の3.1%増から伸びが加速し、52か月連続のプラスとなった。3か月連続で3%以上の伸びを記録するのは、1992年3月以来、34年1か月ぶりである。
名目賃金を押し上げたのは、基本給にあたる所定内給与の増加である。所定内給与は前年同月比3.4%増となり、33年6か月ぶりに4か月連続で3%以上の伸びを記録した。2025年の春季労使交渉による賃上げの波及や、最低賃金の引き上げが反映された結果とみられる。特別に支払われた給与も、前月の0.7%減から持ち直し、7.4%増加した。
実質賃金を押し上げたもう一つの要因は、物価上昇の鈍化である。実質賃金の計算に用いられる4月の消費者物価指数は、持ち家の帰属家賃を除く総合で前年同月比1.5%上昇となった。前月の1.6%から伸びが鈍化し、4カ月連続で2%を下回った。
物価抑制には、政府のガソリン代補助や旧暫定税率の廃止が影響した。ガソリン価格は9.7%低下し、エネルギー価格全体も前年同月比3.9%下落した。また、学校給食の無償化や、2026年度から私立を含む高校の就学支援金について所得制限が撤廃され、支給上限額が引き上げられた効果などにより、教育関連の価格も6.1%低下した。
一方で、外部環境には不確実性が残る。厚労省の担当者は「米・イラン戦争がどのような帰すうをたどるのか、賃上げへの影響を含めて注視したい」と述べ、中東情勢の緊迫化に警戒感を示した。
厚労省は2025年3月分から、実質賃金の算出に新しい方式を導入している。新方式に基づく4月の実質賃金は2.1%増となり、従来方式より0.2ポイント高かった。
労働時間では、総実労働時間が139.9時間となり、前年同月比0.3%増加した。内訳は、一般労働者が1.0%増加した一方、パートタイム労働者は2.1%減少した。
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