EU 少額小包に一律3ユーロ課税 中国発ECサイトへの規制強化

2026/07/03
更新: 2026/07/03

EUは7月1日、価格が150ユーロ以下の少額小包に対し、1件あたり一律3ユーロの関税を導入した。主に中国から流入する大量の低価格商品に対応する狙いがある。アメリカが小額貨物の免税制度を廃止した動きとも足並みをそろえるもので、米欧で中国発のECサイトに対する規制が強まっている。

この関税は、小包に含まれる商品の関税分類、いわゆるHSコードの数に応じて課される。小包に3種類の異なる品目が入っていれば9ユーロが課される。一方、同一品目の衣類や玩具が複数入っている場合は、3ユーロのみとなる。

今回の3ユーロ関税は暫定措置である。2026年11月1日からは、急増する小包の通関処理にかかる費用を補うため、EUが追加の処理手数料を課す可能性がある。手数料の水準は定期的に見直される。2028年7月1日に新たなEU税関データセンターが正式に稼働した後、これらの費用は品目別に課される通常の関税に置き換えられる見通しだ。

この措置により、これまで4〜8ユーロという超低価格で消費者を引きつけてきたビジネスモデルは、関税、手数料、付加価値税の負担が重なることで、利益率が大きく圧迫されることになる。ヨーロッパの消費者にとっても、ネット通販の購入コストは上昇するとみられる。

中国発の低価格商品、米欧に大量流入

EUは2008年、150ユーロ以下の商品を免税とする制度を導入した。しかし近年、EC小包の数は急増しており、2022年の14億件から2025年には58億件に増えた。

アメリカでも同様の状況が起きていた。少額小包は2023年に10億件に達し、2024年には13億6千万件を超えた。2025年8月にトランプ政権が小額貨物の免税制度を廃止して以降、小包数は減少に転じた。

小包数急増の背景には、SHEIN、Temu、アリババ傘下のAliExpressなど、中国発のECプラットフォームの成長がある。これらの企業は、EUでは150ユーロ未満、アメリカでは800ドル未満の小包が免税となる制度上の抜け穴を利用し、大量の低価格商品を欧米市場に送り込んできた。

しかし、こうした手法は以前から米欧の地元小売業者や議員、当局者の強い反発を招いていた。低価格商品が地元企業を圧迫しているだけでなく、規制や安全面でも多くの問題を生んでいるためだ。具体的には、商品の価格や数量の虚偽申告、フェンタニルを中心とする違法薬物の発送、模倣品や安全基準を満たさない商品の流通、違法商品の販売、さらに架空注文による取引量の水増しなどが指摘されている。

税関改革を担当する欧州議会議員のディルク・ホーティンク氏は、中国発ECの台頭が従来の貿易構造を大きく変えたと指摘する。同氏は「これらの企業は、EU企業を犠牲にしながら免税規定を大規模に悪用し、自らに競争上の優位を作り出している」と述べた。

欧州委員会が3月に公表した調査によると、輸入された化粧品、食品サプリメント、個人用保護具、自転車用ヘルメットなどの60〜65%がEUの安全規則に適合していなかった。こうした違反商品の多くは、SHEIN、Temu、AliExpressの3つのプラットフォームを経由したものだったという。

また、米税関・国境警備局のデータも、一部の犯罪組織がECプラットフォームを通じて、高純度のフェンタニルやその前駆物質を一般商品に偽装し、アメリカへ発送していることを示している。偽装にはスマートフォンケース、衣類、アクセサリーなどが使われ、中国、メキシコ、カナダなどから送られていた。少額小包の免税制度を利用することで、税関検査から逃れようとしていたとされる。

専門家「EU向けEC航空貨物は減少へ」

電子商取引と航空貨物輸送のコンサルティング会社CirrusGlobalの責任者、デレク・ロッシング氏は、新制度の施行後数週間で、EU向けのEC航空貨物量は10〜35%減少すると予測している。これにより、世界全体の航空貨物輸送量にも影響が及ぶ可能性がある。

ロッシング氏は「重要なのは、これらのプラットフォームが他の市場へどれだけ効果的に移れるかだ。アメリカが小額貨物の免税制度を廃止した際、ヨーロッパは最も有力な代替先だった。しかし今、ヨーロッパも同様の規制を実施しており、現時点で明確な代替市場は見当たらない」と述べた。

同氏はさらに、これらのプラットフォームが消費者向け価格の大幅な上昇を避けるため、追加コストの一部を供給業者に負担させる可能性があるとみている。利益を維持する狙いもあるという。

実際、EUはこれまで、域外の販売業者やプラットフォームに対し、EU域内に倉庫を設けるよう促してきた。商品を大口でまとめて輸入し、税関検査の効率を高められる規模であれば、その後EU域内の消費者へ発送する小包について、比較的低い処理手数料が適用される可能性がある。

現在、ヨーロッパ最大級のオンライン小売プラットフォームであるZalandoをはじめ、SHEIN、Amazonなどはすでに対応を進めている。EU加盟国に倉庫を設け、域内から発送することで、関税負担を抑えようとしている。

Amazonは、昨年ヨーロッパの消費者に販売した商品の97%がEU域内の倉庫から出荷されたと説明している。EU域外から発送される商品については、購入手続きの前に輸入費用を明確に表示するという

AliExpressも声明で、対象商品については可能な限り「価格に関税と付加価値税を含む」と表示し、それ以外の商品についても、ユーザーが決済する前に輸入費用の内訳を示すとしている。

吳瑞昌