元産経新聞の記者で、インド太平洋戦略に関するシンクタンクのCEOを務める矢板明夫氏が6日、台湾で攻撃され負傷した。香港の元区議は、中国共産党(中共)による越境弾圧だとして事件を非難し、襲撃した廖港発容疑者は香港暴力団の関係者で、麻薬密売の前科がある人物だと指摘した。そのうえで、廖容疑者は中共側の指示を受けて今回の襲撃を実行したと主張している。
7月6日、中共に批判的な立場を取る矢板氏は、台中市での講演後、広東省出身の香港住民・廖港発容疑者(33)に尾行され、顔を殴られて負傷した。廖容疑者は同日、変装して韓国へ出国しようとしたところを空港で逮捕された。台湾当局は、厳正に対処する方針を示している。
事件後、香港深水埗区の元区議である李文浩氏は、SNS上で廖容疑者の深水埗での住所や過去の判決記録を公開した。それによると、廖容疑者は2016年、麻薬密売および乱闘の罪で有罪判決を受け、懲役4年を言い渡されていた。
李氏はその後、香港メディア「追光者」に対し、情報筋の話として、廖容疑者は暴力団のメンバーであり、2020年の出所後に借金を抱えていたと説明した。そのうえで、香港の統一戦線工作に関わる組織、または「親北京の組織」の指示を受け、今回の襲撃を実行したと述べた。
李氏は台湾紙「自由時報」の取材にも応じ、中共が香港の犯罪組織を利用する手法は以前から見られると指摘した。2019年の逃亡犯条例改正案反対運動、いわゆる「反送中運動」の際に香港元朗で覆面集団が無差別に市民や乗客を襲撃する事件が発生した。利子はそれについて、中共は多数の黒社会関係者を動員し、街頭で平和的なデモ参加者を襲撃させたと述べた。
李氏はさらに、台湾在住の香港人・湯偉雄さんが過去にペンキを浴びせられた事件についても、中共が香港から人員を送り込んだものだと説明した。今回の矢板氏襲撃事件も同じ手口だとし、中共があえて香港人を使ったことは、台湾の犯罪組織よりも香港の暴力団を信頼していることを示していると述べた。台湾の犯罪組織関係者を使えば、逮捕後に中共側の背後関係を供述してしまうことが多いためだという。
李氏はまた、中共が香港籍の暴力団関係者を繰り返し台湾に送り込み、襲撃を行わせている背景には、香港人と台湾人の間に分断を生じさせる狙いもあると指摘した。実際、ネット上ではすでに香港人の台湾入境に対する規制を強化すべきかどうかをめぐる議論が起きており、李氏は、こうした分断こそ中共の狙いだと主張した。
台湾外交部の蕭光偉報道官は先日、矢板氏襲撃事件について、中共の「民族団結法」施行後に発生した初の暴力事件だと指摘し、中共が世界各地で「暴力的手段によって権威主義的な影響力を拡大している」と厳しく非難した。
蕭氏はまた、国際社会に対し、中共による越境弾圧に共同で対抗するよう呼びかけるとともに、海外渡航中の国民および台湾在住の外国人の身の安全を守ると表明した。
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