米国 アジアへの軍事的関与を拡大 戦争省が表明

2026/08/11
更新: 2026/08/11

米戦争省高官は8月10日、アメリカがアジアへの軍事的関与を拡大し、日本、台湾、フィリピンを含む島しょ線に沿って「拒否的抑止」の体制を強化していると述べた。この地域においてアメリカに有利な勢力均衡を維持する狙いがある。

エルブリッジ・コルビー戦争省政策担当次官は8月10日、マニラでの演説でこの見解を示した。トランプ大統領が進める海外での米軍の負担を軽減する広範な取り組みが、「アジアからの米軍の撤退につながるのではないか」という不安につながらないよう、懸念を払しょくした。

コルビー氏は「アメリカは決してアジアへの関与を弱めてはいない」と述べた。

「われわれは去らない。実際、最も重要な地域でアメリカに有利な勢力均衡を確保するためアメリカは体制をより強固にしている」

コルビー氏は、アメリカの利益は「インド太平洋にこれまで以上に深く関わることにある」と述べ、軍事面と経済面の双方で「この地域に対する投資をアメリカは強力に、しかも拡大し続けている」と説明した。

同氏によると、地域の勢力均衡を維持するには、日本から台湾、フィリピンを経てボルネオ島方面へと続く「第1列島線に沿った拒否的抑止」の体制が必要であると述べた。

拒否的抑止とは、報復の脅威によって攻撃を思いとどまらせることではなく、特定地域に十分な軍事能力を配置し、敵が攻撃を成功させることを困難にすることである。

「保護領ではなく パートナーを」

コルビー氏は、「戦争省は前方展開の体制を拡充し、地域への戦闘能力の配備を加速させ、拒否的防衛を維持するために必要な物理的インフラを整備し、軍事拠点の防護を強化している」

「われわれは、アジアで永続的に有利な勢力均衡を実現する『力による平和』の取り組みを支えるため、強固な拒否的防衛を積極的に構築している」と述べた。またこうした取り組みには、西太平洋への軍事資産の事前配備と、地域の同盟国との相互運用性の一層の向上を含むと付け加えた。

これは2025年12月に発表したトランプ政権の国家安全保障戦略とほぼ一致している。同戦略は「第1列島線のいかなる場所でも侵略を阻止できる」

この戦略では、米政府は第1列島線沿いの同盟国やパートナー国に対し、港湾などの施設へのアクセスをさらに広げ、防衛費を増やし、侵略を抑止するために設計した能力への投資を進めるよう求めるべきだとしている。

同戦略はさらに次のように記している。

「これにより、第1列島線沿いの海洋安全保障上の問題が相互に結び付く。台湾を奪取しようとするいかなる試みに対しても、アメリカと同盟国の能力で阻止することを強化できる。台湾防衛が不可能になるほどアメリカに不利な戦力均衡が生まれることを防ぐことも重要だ」と付け加えている。

同文書は、アメリカにとって中国を最大の長期的競争相手と位置付ける一方、アメリカの経済力、技術力、産業力が長期的な抑止の基盤になると論じている。

コルビー氏はマニラでの演説で中国を名指ししなかった。しかし、地域覇権の阻止と拒否的防衛の構築に関する同氏の発言は、ピート・ヘグセス戦争長官が5月にシンガポールで用いた表現と酷似していた。

ヘグセス氏は5月30日のアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で、次のように述べた。

「いまこの地域を見渡すと、中国が歴史的な規模で軍備を増強し、周辺やその外側での軍事活動を拡大していることに対して、当然ながら強い警戒感が生まれている」

ヘグセス氏は、米政府は「不必要な対立」ではなく、「節度ある慎重な力」によって対応すると述べた。

「われわれは西太平洋で強固な拒否的防衛を構築し、維持する。これによって侵略を実行不可能にし、事態のエスカレートへの魅力を失わせ、戦争が不合理であると判断するようにさせる」

コルビー氏はマニラで、アメリカの関与が拡大する一方で、アジアの同盟国にはより大きな軍事的負担を担うことを期待すると述べた。また、各国に防衛費の増額を求めることは、米政府が地域から撤退しようとしているという意味ではない、と強調した。

コルビー氏はさらに次のように述べた。

「同盟国やパートナー国に対し、より大きな役割を果たし、自国の防衛にさらに投資し、自国の主権と安全保障に責任を持つよう求めることは、われわれが見捨てようとしているではない」

「われわれが求めているのは、保護地域ではなくパートナーである」

同氏は「パートナーが強ければ、抑止力も強くなる」と述べた。

コルビー氏のマニラ訪問は、政策担当次官として初めて行う東南アジア公式訪問の一環である。インドネシア、タイ、カンボジアも訪問する予定だ。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。