ベトナム政府は、海外で働くベトナム人労働者の不法残留や、悪質な仲介業者による違法な手数料徴収などへの規制を強化する。
ベトナム政府公式サイトによると、ベトナム政府は7月15日、「労働、社会保険および契約に基づく海外派遣ベトナム人労働者分野における行政処分に関する政令(第283/2026/NĐ-CP号)」を公布した。同政令は9月10日に施行される。
新政令ではベトナム国内の雇用や社会保険の管理に加え、海外で働くベトナム人の保護、悪質な送り出しや仲介行為、不法残留への対策を規定している。
正式な許可を持たない仲介者が虚偽の就労情報を広告したり、違法な保証金や過剰な手数料を事前に徴収したりする事例もあり、労働者に不法残留を促したり、労働搾取を強要したりする問題も指摘されている。こうした行為は労働者を多額の債務や搾取、強制労働などの人権侵害にさらす恐れも指摘されている。
無認可の仲介に最大1億ドン
同政令が思考されれば、ベトナム政府の許可を得ていない個人や組織が、海外派遣に関する情報提供、広告、案内、選考、手数料の回収や預かりを行った場合、罰金が課される。
個人がベトナム政府の許可を得ず、海外派遣に関する情報提供、広告、案内、選考、手数料の回収や預かりを行った場合、8千万~1億ドン(約49万~61万円)の罰金が科される。労働者をだまして海外に不法残留させたり、帰国しないようそそのかしたりした場合も、同額の罰金となる。
企業や無認可団体などの組織が同様の違反行為をした場合、罰金は個人の2倍となり、1億6千万~2億ドン(約97万~122万円)が科される。
個人、組織のいずれについても、違反行為に組織的な不法出国や強制労働、人身搾取など犯罪の兆候が認められた場合、処分権限を持つ当局は事件資料を刑事司法機関へ送付し、刑事責任を追及しなければならない。
契約終了後の不法残留も処分
雇用契約や職業訓練契約などの契約が終了した後、脅迫や強制などの正当な理由がないにもかかわらず、海外に不法残留した労働者には8千万~1億ドン(約49万~61万円)の罰金が科される
また常住地の郷・坊・町レベル人民委員会で契約の確認や正式な登録手続きを行わず、直接契約に基づき海外へ渡航して就労した場合、労働者には500万~1千万ドン(約3万~6万円)の罰金が科される。
日本滞在中に処分を受けたベトナム人労働者は、在日ベトナム大使館や領事館などの外交代表機関で罰金を納付でき、帰国前でも罰則を執行できる仕組みとなっている。
送り出し企業の責任を強化
また日本へ労働者を送り出すベトナムの認可企業にも、適正な派遣手続きを維持する義務を課している。
日本の技能実習制度では、賃金不払いや労働関係法令違反などが相次いで確認され、渡航前教育や現地での支援体制の不十分さも課題として指摘されてきた。
認可企業が法定基準を超えるサービス料や無断の保証金などを労働者から徴収した場合、最大2億ドンの罰金を科すほか、日本向けの送り出し業務を一定期間停止する。送り出し企業は渡航前の労働者に対し、就労先の文化や法律、労働規律について教育し、修了証を発行しなければならない。
また海外で労働者が病気やけが、死亡、権利侵害、差別などに直面した場合、送り出し企業は現地の受け入れ機関やベトナム領事館と連携し、法的支援や帰国手配を行うことも求められる。
日本側の通報を受け現地で調書作成
日本でベトナム人労働者が失踪した場合、海外の雇用主(日本の受入企業)や受入国(日本)の管轄公的機関・組織からベトナム側へ公式な通知が届くことで、事実関係の確認手続きが始まる。
通報を受けた在日ベトナム大使館や領事館の外交・領事官は、日本国内で行政違反調書を作成できる。調書は、ベトナム側が罰金を執行する際の根拠となる。
日本の受け入れ企業にも周知求める
アンザン省工業団地管理局などの地方当局は、管轄下の工業団地や経済特区で稼働する企業(日系現地法人を含む)に対し、政令の施行前に、労働管理台帳の整備や労働使用状況の申告、適切な社会保険の加入状況について主体的な自己監査(自主点検)を行うよう推奨している。
これは、ベトナム国内の雇用主が意図しない法令違反により高額な罰金(組織の場合は個人の2倍の額)を科されるリスクを未然に防ぐためである
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