スマホや車など、私たちが毎日使う製品は、多くの原料や部品を世界各地から集めて作られている。
ところが今、その原料から部品、完成品まで、中国の存在が大きくなっている。
「安い中国製品が増える」だけではない。「中国なしでは作れない」状態になっていくのではないか。
専門家が「チャイナショック3.0」と呼んで警戒しているのは、こうした新たな変化だ。
「チャイナショック」とは、中国の動きが世界に大きな影響を与えること。これまでは、主に経済や貿易の問題として語られてきた。しかし「3.0」は、経済や貿易だけの話ではない。
東京大学公共政策大学院の宗像直子教授は、原料から部品、最終製品まで一連の生産を広く押さえる形を「チャイナショック3.0」と呼んでいる。宗像氏は、中国が海外で資源を確保し、国内外で生産を広げていると指摘する。これにより、他国は原料を確保しにくくなり、価格競争でも中国企業に対抗できなくなる可能性があるという。
インド出身の経済学者で米ジョンズ・ホプキンス大学助教授のシャミトロ・チャタジー氏と、インド政府の元首席経済顧問アルビンド・スブラマニアン氏も、米外交誌『フォーリン・アフェアーズ』への寄稿で、中国が低い技術でも作れる製品で大きな輸出シェアを保つことで、これから製造業を育てたい貧しい国々の成長の機会が狭められると指摘している。
さらに台湾政治大学国際関係研究センターの宋国誠教授は、「チャイナショック3.0」は経済だけでなく、法律、スパイ活動、AI、安全保障にも広がっていると分析する。
宋氏が特に警戒するのが、中国の法律を国外にも及ぼそうとする動きだ。中国の法律は台湾では直接効力を持たなくても、中国と犯罪人引き渡し条約を結ぶ第三国などを通じて影響が及ぶ可能性があると指摘。中国が法律を使って国外にも圧力をかける「法律戦」につながりかねないとの見方を示している。
一方、中国側はこうした「チャイナショック3.0」論に反発し、中国の輸出拡大は世界に「イノベーションの恩恵」をもたらしていると主張している。
「中国から買うと安い」だけなら、価格の問題である。だが「中国以外では作りにくい」となれば、話は変わってくる。
原料から部品、最終製品まで中国の存在が大きくなり、その影響がAI、安全保障、法律などにも広がる。専門家が警戒する「チャイナショック3.0」は、まさにその問題を映している。
宗像氏は、各国が協力して対応しなければ、今後数年で重要な産業の生産能力が中国にさらに集中するおそれがあると警告している。
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