論評
米国務省は、中国共産党(中共)がジェノサイドを行っていると明確に述べている。
筆者は8月27日、米国務省報道業務室のメディア向けオンライン窓口を通じて、いくつかの質問を送った。その一つは、「米国務省は、中国が2026年も引き続きジェノサイドを行っていると判断しているのか」というものだった。
9月1日、米国務省報道官は電子メールで、「米国は、中共が新疆のウイグル人やその他の民族・宗教集団の人々に対し、ジェノサイドと人道に対する罪を行っていると認定した」と書面で回答した。
トランプ大統領の第1次政権における最後の全執務日だった2021年1月19日、当時のマイク・ポンペオ国務長官は、本コラムで以前にも取り上げた通り、「新疆における残虐行為に関する国務長官の認定」と題する声明を発表した。
ポンペオ氏は声明で「米国は、最も凶悪な人権侵害を行った者の責任を追及する取り組みにおいて、世界を主導してきた」と述べた。
「われわれがそうするのは、それが正しいことだからである」と続けた。
ポンペオ氏は「入手可能な事実を慎重に検討した結果、中共の指示と統制下にある中華人民共和国が、主にイスラム教徒であるウイグル人や、新疆のその他の民族・宗教的少数派集団に対してジェノサイドを行ったと認定した」と述べた。
「このジェノサイドは今も続いており、われわれは中国の党国家によるウイグル人の組織的な抹殺の試みを目の当たりにしていると考える」
5年以上前に発表されたこの声明で、ポンペオ氏は、こうした行為をやめるよう求めた。
ポンペオ氏は次のように述べた。
「米国は中華人民共和国に対し、恣意的に拘束されている全ての人々を直ちに解放し、強制収容、収容所、自宅軟禁、強制労働の制度を廃止するよう求める。
また、強制不妊手術、強制中絶、強制的な避妊、子供を家族から引き離すことなど、強制的な人口統制措置を中止すること、拘禁施設における全ての拷問と虐待をやめること、新疆や中国のその他の地域におけるウイグル人および宗教・民族的少数派集団の人々への迫害を終わらせること、ウイグル人や迫害されているその他の少数派に旅行と国外移住の自由を認めることを求める」
ポンペオ氏がこの声明を発表して以降、米国務省が公表した中国の人権状況に関する5回の年次報告書は、いずれも中国がジェノサイドを行っていると記している。対象となったのは2020~2024年の各年である。
2024年版報告書の最初の一文には、「中国ではこの年、新疆の主にイスラム教徒であるウイグル人や、その他の民族・宗教的少数派集団の人々に対するジェノサイドと人道に対する罪が行われた」と記されている。
米国務省は、2025年の中国の状況を対象とする人権報告書をまだ公表していない。
米国務省報道官は筆者に対し、「国務省は現在、2025年の世界の状況を対象とする人権報告書の作成を進めており、今年後半に公表する予定である」と説明した。
国務省の2024年版報告書は、新疆における中共の行為を記述している。
報告書は次のように述べた。
「新疆の民族・宗教的少数派を対象に、政府が強制的な人口統制措置を強化した結果、当局が強制的な人口統制措置を拡大した2018年以降、新疆の出生率は急落した。
こうした措置には、強制中絶、強制不妊手術、本人の意思に反する子宮内避妊具の装着、同地域の拘禁施設で行われた妊娠検査が含まれ、主にウイグル人とカザフ族をはじめとする少数派集団が対象とされた」
報告書はまた、中国における「重大な人権問題」には、次のような「信頼できる報告」が含まれると指摘した。
「恣意的または違法な殺害、失踪、拷問または残酷で非人道的もしくは品位を傷つける取り扱いや処罰、本人の意思に反する、または強制的な医療・心理的措置、政府による恣意的な逮捕と拘禁。これには2017年以降、司法手続きを経ない強制収容所や刑務所に収容された100万人を超えるウイグル人および主にイスラム教徒であるその他の少数派集団の人々が含まれる」
本コラムで以前にも取り上げた通り、ジョー・バイデン前大統領は4年間の任期中、中共の習近平党首と3回会談した。しかし、習近平の政権が行い、バイデン政権下の国務省が年次人権報告書で指摘していたジェノサイドについて、バイデン氏が習近平に直接問題を提起したことを示す証拠はない。
トランプ氏はこれまでに習近平と7回会談している。直近の会談は5月で、トランプ氏は米国の主要企業の経営者らを伴って北京を訪問した。本コラムで以前にも取り上げた通り、この中には当時のアップル最高経営責任者(CEO)ティム・クック氏、ブラックロックCEOのラリー・フィンク氏、ボーイングCEOのケリー・オートバーグ氏、シティCEOのジェーン・フレーザー氏、ゴールドマン・サックスCEOのデービッド・ソロモン氏、Meta社長のディナ・パウエル・マコーミック氏、テスラCEOのイーロン・マスク氏らが含まれていた。
この首脳会談では、習近平の政権が行っているジェノサイドは議題とならなかった。トランプ氏は一行が北京へ出発する際、交流サイト「トゥルース・ソーシャル」に次のように投稿した。
「私は、並外れて卓越した指導者である習近平に、中国を『開放』し、この優れた人々がその手腕を発揮して、中華人民共和国をさらに高い水準へ引き上げるために力を貸せるよう求める。実際、数時間後にわれわれが会った際には、それを私の最初の要請にすると約束する」
習氏は9月24日、ホワイトハウスでトランプ氏と会談する予定である。
この会談でトランプ氏が最初に習近平へ伝えるべきことは、中国がジェノサイドを直ちにやめなければ、米国は中国との貿易を停止するということである。

ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。