タンカー運賃が過去最高水準 米中航路8千万ドル ロケット打ち上げ費超え

2026/10/13
更新: 2026/10/13

中東で続く戦争の影響で利用できる石油タンカーが不足し、海上運賃が急騰している。その異常な高騰ぶりは、ある比較からも分かる。現在、米国から中国へ原油を運ぶタンカー1隻の用船料は、SpaceXのロケット「ファルコン9」の打ち上げ費用を上回っている。

ブルームバーグによると、船舶仲介会社ギブソンは先週、米国から中国へ原油を運ぶタンカーの用船料が約8千万ドルに達したと明らかにした。これに対し、ファルコン9の標準的な打ち上げ費用は7400万ドル。今年初めなら、同じ金額で同型のタンカー1隻を購入できたほどだという。

背景にあるのは、世界的なタンカー不足だ。

ここ数週間、超大型原油タンカーの市場では異例の運賃高騰が続いている。船舶仲介会社SSYによると、インフレを考慮しても、現在の運賃は超大型タンカーが登場した1960年代以降で最高水準に達している。

1980年代のイラン・イラク戦争で、両国がペルシャ湾を航行する商船を攻撃した「タンカー戦争」の時期さえ上回るという。

世界最大の独立系石油商社ヴィトルのラッセル・ハーディ最高経営責任者は先週の会合で、「現在は利用できるタンカーが明らかに不足しており、運賃はほぼ放物線を描くように上昇している」と述べた。

ホルムズ海峡で原油を積み替え タンカー不足に拍車

運賃高騰の背景には、運ぶべき原油の量に対し、利用できるタンカーが足りないという問題がある。

イラン戦争が続くなか、中東の産油国はホルムズ海峡を通じて原油を輸出する際、タンカーから別のタンカーへ原油を積み替える方式を採用している。

原油を満載したタンカーがホルムズ海峡を通過した後、オマーン湾で別のタンカーに原油を移し、そこからアジアへ運ぶ。

この方式は、タンカーがイランの攻撃を受けるリスクを抑える一方、1回の輸送に必要な船の数を増やす。戦争前と比べ、追加の積み替え作業によって航海が約1週間長引く場合もあり、世界的なタンカー不足に拍車をかけている。

イランから中国への原油輸出が事実上停滞していることも影響している。中国の買い手が他地域から原油を調達する必要に迫られ、タンカー需要がさらに高まっているためだ。

さらに、イランによる攻撃で一部の船舶が損傷し、修理のため運航を停止している。フーシ派の攻撃を避けるため、アフリカを迂回する船舶もあり、航海距離が数千マイル延びている。

原油1バレルの輸送費が41ドルに

これまで原油の輸送費は、石油供給網全体のコストの中では小さな割合にすぎなかった。しかし現在は、原油価格に占める割合が急速に高まっている。

先週成立した米国発の原油輸送契約では、1バレル当たりの輸送費が41ドルに達した。前年の同じ航路の平均はわずか4.5ドルだった。

これは、米国産原油の指標となるWTI原油先物価格の約45%に相当する。WTI原油先物は10月9日、1バレル=91ドル前後で取引された。

CNBCも関係者の話として、中東情勢による世界的な海運費高騰を受け、メキシコ湾岸から中国へ向かう超大型タンカーが7600万ドルの運賃で契約されたと報じた。

関係者によると、このタンカーはアレクサンドロスで、大手商品取引会社トラフィグラが用船した。11月19日前後に原油を積み込む予定だという。

戦争前であれば、この航路の通常の運賃は700万~1千万ドル程度だった。

同船が原油200万バレルを積載すると仮定すると、今回の輸送費は1バレル当たり約38ドルに達する。

張婷