中国のロケット残骸か 米国の畑とインドネシアの農園で相次ぎ発見

2026/10/21
更新: 2026/10/21

アメリカ・ミネソタ州のトウモロコシ畑とインドネシアの農園で、中国の民間ロケットの残骸とみられる金属製の物体が相次いで見つかった。直径3メートル超の物体や長さ9メートルのアルミ板が確認され、いずれもけが人は出ていない。関係機関が出所を調べる中、使用済みロケットの落下を巡る安全対策が問われている。

米ミネソタ州の畑で直径3メートル超の残骸を発見

アメリカ中西部ミネソタ州スティーブンス郡のスコット・タウンシップで10月14日、トウモロコシを収穫していた農家が、畑で金属製の物体を見つけた。直径は約11フィート(約3.35メートル)で、製造番号が刻まれていた。

地元のスティーブンス郡保安官事務所は声明で「宇宙機の残骸である可能性が高い」とし、住民に直接の危険はないと説明した。周囲のトウモロコシの状態から、物体は数週間前から畑にあったとみられる。すでに回収され、保管されており、州と連邦の関係機関が所有者や出所を調べている。

この物体は、中国の民間ロケット企業ランドスペース(藍箭航天)が打ち上げた「朱雀2E」7号機(Y7)の第2段の一部ではないかと指摘されている。同機は9月15日、中国北西部の東風商業航天創新試験区から打ち上げられ、衛星通信網「千帆」を構成する中国の通信衛星10基を軌道に投入した。同試験区は、中国共産党軍が運用する酒泉衛星発射センターと同じ地域にある。

報道によると、第2段は衛星を切り離した後にエンジンを再点火し、地球を1周する前の、打ち上げから75〜80分後にアメリカ中西部へ落下する軌道に入ったとしている。当日は、炎の尾を引く物体がカンザス州上空を北上し、ミネソタ州に向かう様子がSNSに投稿された。ウィスコンシン州でも、西の空に同じような光が見えたという。

専門家は、物体を目撃した時刻や場所、進行方向に加え、発見された残骸の大きさが朱雀2Eの第2段の直径と一致することを根拠に、同機の残骸である可能性を指摘している。ただし、技術的な推定にとどまり、公式の確認ではない。ランドスペース社も、同機の残骸がミネソタ州に落下したとは公に認めていない。

ロケット残骸の落下 使用済み上段の処分に課題

使い終えたロケットの上段は、エンジンの逆噴射で軌道を変えて大気圏に再突入させ、人のいない海域に落とすことが、安全に処分する方法である。密度の高い部品は再突入時に燃え尽きず、地上に達することがある。このため、逆噴射の計算を誤ったり、噴射に失敗したりすると、燃え残った部品が想定外の場所に落下するおそれがある。

今回、逆噴射が行われなかったのか、軌道が予定からずれたのか、あるいは破片が想定より広い範囲に散らばったのかは分かっていない。ミネソタ州の警察関係者は、残骸に危険はないとしながらも、「人口の多い地域の上空で再突入していたら、話は違っていた」と指摘する。

軌道上から大気圏に再突入した宇宙物体の破片によって、人が重傷を負った例はこれまで確認していない。一方で、建物などへの被害は起きている。国際法では、宇宙物体が地上に落下して損害を生じさせた場合、打ち上げ国が責任を負う。

中国のロケットでは、過去にも制御されないまま大気圏に再突入したり、軌道上で分解したりした例がある。今年6月には、朱雀2号の上段が任務を終えた後に軌道上で分解し、数十個の破片が発生した。分解が起きたのは、国際宇宙ステーション(ISS)や、スペースXの衛星群「スターリンク」などが周回する宇宙機の多い低軌道の領域だった。高度が比較的低かったため、破片の大半は数か月以内に大気圏で燃え尽きる見込みだという。

一方、アメリカのロケットは通常、上段に処分用の推進剤を残し、落下地点を制御して処分している。「千帆」のような大規模な衛星通信網の構築には、繰り返し打ち上げを行う必要があり、それに伴って処分すべきロケットの上段も増える。

インドネシアの農園でも発見 長さ9メートルのアルミ板

インドネシアでは、10月19日と20日に相次いで残骸が見つかった。

19日早朝、ボルネオ島のインドネシア領にある農園で、長さ9メートルのアルミ板が見つかった。板には焼け焦げた跡があり、前夜には近隣住民が大きな爆発音を聞いていた。翌20日には、約1キロ離れた場所でも、同じ機体の一部とみられる別の残骸が見つかった。インドネシア空軍が調べている。

インドネシア国家研究イノベーション庁(BRIN)は、10月14日に衛星10基を載せて打ち上げられた朱雀2号改良型(遥四)の残骸である可能性が高いとみている。

残骸を見つけた農園の作業員は「運を天に任せるしかない。ほかにどうしろというのか」と話した。落下時には作業員全員が帰宅しており、けが人は出なかった。

事前警告のない落下 中国国内では死者も

国際的には、ロケットの打ち上げ前に軌道を正確に計算し、使用済み機体の落下先を人口の少ない地域に設定するとともに、事前に航行警報を出すことが求められている。一方、中国のロケット残骸は、事前の警告がほとんどないまま落下することが多い。中国国内では、残骸が民家を壊したり、住民が死傷したりした例が繰り返し報じられている。

以前、中国の映画監督、張賛波氏は、ドキュメンタリー映画『天降』で、ロケット残骸の「落下区域」に指定した湖南省綏寧県の農村を取材した。作品は、村人たちが毎年、残骸が落下する危険にさらされながら暮らす実情を伝えている。当時、残骸に当たって16歳の少女が亡くなり、両親が深い悲しみに沈む姿も描かれている。

許家琳