仏・伊・ベルギー・スペインで抗議デモ 欧州各地で相次ぐ暴動や略奪

2026/10/26
更新: 2026/10/26

生活費の高騰や教育問題などへの不満を背景に、欧州各地で24日、抗議デモが相次いだ。フランスやイタリア、ベルギー、スペインなどでは、一部の参加者が警察と衝突したほか、店舗の略奪や放火などの破壊行為も発生。各国当局は治安部隊を増強し、さらなる混乱の拡大を警戒している。

各国の当局やメディアによる調査報道では、暴力行為の一部について、極左系団体や関連する急進的な組織の扇動・主導を指摘する声も出ている。

パリで夜間に再び衝突 フランス全土で大規模デモ

フランスでは24日、生活費の高騰や貧富の格差拡大に抗議するデモが全土で発生し、当局によると約41万人が参加した。労働組合側は参加者を約80万人と推計している。政府は前週末のような暴力の再発を防ぐため、警察官と憲兵計約7万人を配置した。

最大規模のデモはパリ南東部で行われ、少なくとも11万人が参加した。パリ中心部では複数の道路が封鎖され、商店主らは通りに面したショーウインドーを板でふさいだ。博物館が休館したほか、地下鉄駅20カ所以上が一時閉鎖された。

日没後にはパリやマルセイユなどで再び暴力的な衝突が発生。顔を覆った若者らがごみ箱に火をつけ、警備部隊に石やガラス瓶を投げつけたほか、宝飾店を含む複数の店舗で略奪行為に及んだ。機動隊は催涙ガスや放水銃を使用し、参加者の排除や身柄の拘束に当たった。

リヨン、ボルドー、グルノーブル、クレルモンフェランなどの主要都市でも衝突が起きた。

フランスのヌニェス内相は、極左活動家や犯罪集団が意図的に混乱を引き起こしていると批判。「こうした危険性の高い集団は周囲で暴力的な破壊行為に及んでいる」と述べた。一方、警備要員を増員したことで、今回の暴力行為は前週末と比べて抑えられたとの認識を示した。

米FOXニュースの調査報道は、今回の国境を越えた騒乱の背景に、共産主義系組織や革命左派団体、国際的な急進派のネットワークからなる政治的な連携基盤があると指摘した。また、少なくとも54の極左系団体が役割を分担して協力していると報じた。

イタリア 軍人500人を投入 騒乱再発を警戒

イタリアでは、週末にかけてソーシャルメディア上で新たなデモの呼びかけが続く中、トリノ、ローマ、ボローニャで再び暴力を伴う抗議活動が発生した。一方、ミラノでは大きな混乱はおおむね回避された。

ミラノで比較的平穏が保たれた背景には、当局による警備強化があるとみられる。政府は同市で厳重な警備態勢を整え、多数の警察官を動員。10月19日には、治安維持のため軍人500人を派遣すると発表していた。

24日早朝には、イタリア警察が特定の人物1人をミラノ警察本部に連行し、事情聴取を行った。

前回のデモでは参加者と警察が衝突し、店舗の略奪や器物損壊が発生。市中心部の商店は相次いで営業時間を繰り上げ、ショーウインドーを板でふさぐなどの対応を取っていた。

ベルギー 警察が催涙ガスで群衆を排除

ベルギーの首都ブリュッセルでは24日、政府に抗議するデモが行われ、若者を中心に数百人が教育予算の増額を求めて参加した。

しかし、一部の参加者は道路標識などを共有型電動キックボードや自転車に投げつけ、火をつけようとした。その後、警察との衝突に発展した。

警察は催涙ガスや唐辛子スプレーを使用してデモの解散に当たり、暴力行為に及んだ参加者を追跡した。

警察は同日夕方の声明で、重大な事件は発生していないと説明した。その一方、公共の秩序を乱した疑いで5人を一時拘束したほか、禁止武器の所持や騒乱の扇動の疑いで4人を拘束したと発表した。

バルセロナで放火・略奪 未成年者も多数拘束

スペインのバルセロナでは24日夜、反体制集会に参加した顔を覆ったデモ参加者らが、市中心部のカタルーニャ広場周辺で複数の店舗を略奪し、道路設備などに火を放った。

警察はその後、約100人を逮捕した。拘束された人のうち、約4分の1は未成年者だったという。

カタルーニャ自治州のヌリア・パルロン内相は、観光客や週末の買い物客でにぎわう地域で30件以上の放火が発生し、14店舗が破壊または略奪の被害を受けたと明らかにした。

デモは、ソーシャルメディア上で「怒れる中高生」を意味する「インスティトゥト・インディグナッツ(Institut Indignats)」というスローガンを掲げて呼びかけられた。この名称は、フランスで最近行われた学生抗議運動に由来するという。

バルセロナのジャウマ・コルボニ市長は、暴動や破壊行為に関与した者は法的責任を負うと警告。未成年者が関与した場合には、その保護者も相応の法的責任を問われる可能性があると強調した。

生活不安が抗議の背景 各国は治安対策を強化

欧州各地で相次ぐ抗議活動の背景には、生活費の高騰に加え、教育や住宅をめぐる問題への不満がある。一方、一部のデモでは暴力行為や略奪、放火が発生し、各国政府は警備態勢の強化や法的措置を通じて対応を進めている。

抗議活動が今後も続く可能性がある中、各国当局には、デモを行う権利を尊重しながら、暴力行為を防ぎ、公共の安全を確保することが求められている。