ワシントンD.C.にある米国連邦議会議事堂。2013年6月13日撮影(Mark Wilson/Getty Images)

ウイルス起源調査 米共和党が武漢研究所に注目「軍が19年に接収」

米下院の共和党議員が6月29日に開いた中共ウイルス(新型コロナウイルス)の起源を調査する公聴会では、議員や専門家が、中国軍と密接な関係を持つ武漢ウイルス研究所発生源だったことを示唆する報告や証拠が増えていることを指摘した。

参加者には共和党の下院議員のほか、トランプ前政権の保健省や国務省の関係者や医学専門家なども含まれている。

下院外交委員会の共和党トップ、マイケル・マコール(Michael McCaul)議員は、この会合で、「ウイルスが研究所から漏れた可能性が高い。それを証明する信憑性のある証拠がすでにある」と述べた。

中国軍が2019年に研究所を接収」

公聴会では、マコール議員が重要な情報を明かした。「中国軍が武漢研究所を接収したのは、当初報道された2020年1月ではなく、2019年だった。実際、2017年には中国軍が同研究所に常駐していた」と語った。

「つまり、COVID-19が世間に知られる前から、中国共産党はこの研究所のことを気にかけていたのだ。そうでなければ、なぜ軍に接収させたのか」

マコール氏は、接収の具体的な時期に言及していない。

米NBCニュースは昨年5月9日、​事情に詳しい情報筋3人の話として、携帯電話の位置情報を分析した結果、2019年10月中に武漢ウイルス研究所が一時的に閉鎖されていたことが判明したと報じた。

米国務省が今年1月15日に発表したファクトシート(Fact Sheet)によると、米政府は、表向きでは民間機関となっている武漢ウイルス研究所が少なくとも2017年以降、中国軍と協力し動物実験などの研究を行っていたことを確認した。

また、武漢ウイルス研究所に所属する複数の研究者が2019年秋に中共ウイルスと一致する症状で体調を崩した。中国当局は、独立系ジャーナリストや研究者、国際保健機関が研究所のスタッフにインタビューすることを妨げていたという。

ウイルスの発生源に関する中国共産党の隠蔽と誤報について、マコール氏は「武漢華南海鮮市場が発生源であるという考え方はもう捨てるべきだ。同市場でクラスター発生の10日前には、ウイルス感染がすでに確認され、いずれも市場とは無関係だ。中国共産党が注意をそらすために市場を利用した」と指摘した。

マージョリー・テイラー・グリーン(Marjorie Taylor Greene)議員は、「北京当局が情報を公開していたら、どれだけ多くの命が救われたことだろう。今でも中国共産党は、ウイルスの発生源に関する真実を世界に知られないようにしている」と語っている。

共和党下院議員15人で構成された「中国タスクフォース(China TaskForce)」は、昨年9月下旬に新型コロナウイルスの起源に関する90ページの調査結果を発表し、ウイルスが武漢の研究所で発生した可能性を示唆した。責任者であるマコール議員はより多くの証拠や情報を盛り込んだアップデート版を7月に発表することを明らかにした。

8万件の検査でウイルス宿主が見つからず

カリフォルニア大学バークレー校名誉教授のリチャード・ミューラー(Richard Muller)氏は公聴会で、これまでに8万件以上の動物サンプルが検査されたが、いまだに中共ウイルスの宿主は見つかっていないと述べた。

同氏によると、医学界は、SARSと中東呼吸器症候群(MERS)の動物宿主をそれぞ3カ月と9カ月で特定した。しかし、中共ウイルスの場合は、多大な資源と労力を投入したにも関わらず、何の成果も得られていないという。

ミューラー氏は、ウイルスの起源と武漢ウイルス研究所との関連性にも疑問を呈した。何万もの動物サンプルが検査されているが、武漢ウイルス研究所の「ヒト化マウス(Humanized Mice)」だけは一度も検査されていないと述べた。

ハドソン研究所の上級研究員であるデビッド・アッシャー(David Asher)博士は、「中国共産党がこの病原体を意図的に作ったかどうかは別として、彼らが取り組んでいる可能性はあると思う。そして、このプロジェクトが中国軍から資金提供を受けていることも間違いない」と語った。

ウイルス起源調査めぐる両党の温度差

米感染症対策トップのアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)博士は、昨年1月に研究所からウイルスが流出した可能性があるという報告を受けたが、その主張を抑えていたことが、最近公開された電子メールの記録で明らかになった。この主張はこれまで、医学専門家からは否定され、科学界や主流メディアからは陰謀論として退けられてきた。

公聴会を招集した共和党院内幹事のスティーブ・スカリス(Steve Scalise)下院議員は、ファウチ氏に公聴会での証言を求めたが、ファウチ氏はその要求を拒否したという。

一方、共和党下院議員は、6月24日の記者会見で、中共ウイルス発生源調査に関する公聴会の開催をナンシー・ペロシ米下院議長(民主党)に要請したが、拒否されたことを非難した。それに対し、ペロシ氏の事務所は、「下院はウイルスの発生源を調査している」と反論した。

ウイルスの発生源については、現在、民主党のアダム・シフ(Adam Schiff)下院議員が率いる下院情報委員会が調査を行っている。これまでのところ、この問題に関する公聴会は開催されていない。

共和党は、バイデン政権と議会民主党に対し、中国共産党が中共ウイルスに関する情報を隠蔽して米国に与えた損害を償わせるため、具体的な行動を起こすよう求めている。

(翻訳編集・王君宜)