2021年6月、米国から台湾に無償提供されたモデルナ製ワクチンが台湾・台北郊外の空港で荷降ろしされる様子(ロイター)

米国が当初誓約した量の3倍に当たる250万回分のワクチンを台湾に提供

2021年6月中旬、米国は以前に発表していた量の3倍に当たる250万回分のモデルナ(Moderna)製ワクチンを台湾に無償提供した。これは公衆衛生と地政学的な意味合いを持つ。

台湾の陳時中(Chen Shih-chung)衛生福利部部長と対台湾交流窓口機関「米国在台湾協会(AIT)」のブレント・クリステンセン(Brent Christensen)台北事務所長などが、民主主義の台湾の首都台北郊外に所在する空港に到着したワクチンを歓迎して出迎えた。

台湾でコロナ禍の状況が最も悪化しているときに米国が友情を示してくれたと謝意を表した陳部長は、「ワクチンが飛行機から荷降ろしされるのを見て本当に感動した」と話している。

パンデミック発生当初の新型コロナウイルス感染症による死者数はわずか十数人と良好に感染を抑制していた人口2400万人の台湾では、その数値が549人に上昇するほど状況が悪化している。

今回の米国によるワクチン無償提供は、台湾を自国領土と主張する中国からの圧力が高まっている台湾への支持を表明する意図もある。米国と台湾の間には正式な外交関係はないが米国連邦法に基づき米国政府は台湾の自衛体制を支援する必要がある。

実質的には在米台湾大使館に当たる米国在台湾協会のクリステンセン台北事務所長は、「今回のワクチン供与は米国の台湾支持の証である」とし、「台湾は世界の民主主義諸国の一員である」と述べている。 6月上旬に米国上院議員3人が軍用輸送機で訪台し、米国が75万回分のワクチンを提供することを台湾に誓約した。台湾はモデルナ社と約500万回分のワクチン供給契約を結んでいるがこれまでに39万回分しか届いていない。

台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統の発表では、米台間の努力の結果として米国がワクチン供与量を増やすことを決定した。 蔡総統は、「その目標が地域の平和と安定か人間の敵であるウイルス対策かに関わらず、両国は共通の考えを支持し今後も協力を続けていく」とFacebookに投稿している。 同総統は一方で、中国当局の妨害によりファイザー(Pfizer)/ビオンテック(BioNTech)製ワクチンの調達が遅れているとして中国を非難している。

今回米国が無償提供する前の6月上旬に、日本もアストラゼネカ(AstraZeneca)製ワクチン124万回分を台湾に供与している。台湾はまた、アストラゼネカ社にも1000万回分のワクチンを発注している。

(Indo-Pacific Defence Forum)