高市総理は20日、自身のXにおいて、NISAの「つみたて投資枠」における年齢制限を完全に撤廃する方針を明らかにした。これは来年度の税制改正案に盛り込まれるもので、将来を担う子供たちの資産形成の選択肢を大きく広げる狙いがある。
新制度の概要と背景
これまでの新NISAは18歳以上が対象であったが、新たな方針では0歳の乳児から口座開設が可能となる。この新制度は、2023年に終了した「ジュニアNISA」に代わる「こども支援NISA(仮称)」として検討が進められてきたものである。
主な制度設計は以下の通りである。
- 投資枠と上限: 年間の投資上限額は60万円、非課税で保有できる生涯投資限度額は600万円に設定される。
- 引き出し制限の緩和: ジュニアNISAでは「18歳まで原則引き出し不可」という制限が普及のネックとなっていたが、新制度では中学進学などの教育費がかさむ時期を見据え、12歳から引き出しが可能となる見込みだ。
- 別枠管理: この子ども用枠は親のNISA枠とは別で管理されるため、親の投資枠を圧迫せずに家族全体での資産形成が可能となる。
子育て支援と世代間支援の促進
今回の年齢制限撤廃の背景には、教育資金の確保という切実な課題がある。高市総理は、預貯金だけでなく安定的な投資を通じて、大学進学などのライフイベントに備える重要性を強調している。
また、資金の拠出については親世代だけでなく、祖父母が孫の将来を応援するために活用することも想定されている。これにより、必ずしも余裕のない子育て世代だけでなく、全世代で子供たちの将来を支える仕組みを構築することを目指している。
今後の予測と活用への視点
今後の展望として、以下のような変化や影響が予測される。
- 家庭内での金融教育の進展: 子ども名義の口座で運用を行うことは、親子で「お金を増やす仕組み」を学ぶ絶好の機会となる。お年玉や児童手当、お祝い金などを原資として運用することで、子どもが物心ついた時から資産運用を身近に感じる教育的効果が期待できる。
- 教育資金準備の多様化: 0歳から18年間、年間60万円の枠をフルに活用して運用(年利3〜5%程度を想定)すれば、複利効果によって大学資金等の大きな支出に対して強力な備えとなる可能性がある。
- リスク管理の重要性: 一方で、投資には元本割れのリスクが常に伴う。特に「高校の入学金が2年後に必要」といった直近の支出予定がある場合は、投資だけでなく預貯金と併用するなどの現実的な判断が求められるだろう。
政府・与党内での最終調整を経て、制度は2026年度からの導入、あるいは2027年からのスタートを目指して動き出す見通しである。利用者は今後の正式発表を注視し、家計の見直しや余剰資金の状況を確認しておくといったことが、事前の検討事項として挙げられる。
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