成長分野としての臓器移植 中共の拡大戦略を調査団体が告発

2025/12/29
更新: 2025/12/29

12月19日、調査団体「追査国際(法輪功の迫害を調査する国際団体)」は、中国共産党(中共)が臓器移植の規模を拡大している実態についての調査報告書を公表した。報告書は、1999年に法輪功への迫害が始まって以降、臓器移植件数が急増したのに伴い、移植医療機関の新設、移植センターの施設拡張、移植技術の導入、病床の増設や回転率の向上など、臓器移植産業を強化するさまざまな施策が取られてきたと指摘している。

「追査国際」によると、各レベルの政府当局は臓器移植を行う医療機関の数を増やす計画を進めている。新疆ウイグル自治区では、2024年12月時点で臓器移植の資格を持つ病院は新疆ウイグル自治区の首府ウルムチ市にある2か所にとどまっていたが、2030年までに6か所に増やす方針で、ウルムチでは4か所に拡大し、北疆や南疆などにも新たに移植施設を設ける計画である。

中共国家衛生計画生育委員会は2018年2月11日、臓器移植を行う病院として178施設を公表した。さらに、中共衛生部副部長で臓器移植制度改革を主導した黄潔夫は2017年3月4日の全国政治協商会議の分科会で、今後5年間で臓器移植病院を500施設にまで増やす方針を示した。

また、中国の臓器移植センターでは施設の大規模化が進んでいる。2001年8月には、湖南省にある中南大学湘雅第三病院が約1億元を投じ、延べおよそ8千平方メートルの移植医学センターを新設した。完成後、病床回転率は100%に達し、病床数は1千床から1467床に増え、実際の稼働病床は1800床に上ったという。

一部の病院では、移植資格を取得した後に専門チームを導入し、手術件数が急増している。北京清華長庚病院は2018年以降、腎臓、肝臓、心臓など6種類の臓器移植の資格を相次いで取得し、軍関係の経歴を持つ中核移植専門家チームを迎え入れた。2022年には、北京市初の肝臓・腎臓移植医師研修基地に指定され、年間の移植手術は平均でおよそ400〜500件に上っている。

また、深セン市第三人民病院は2017年4月に肝臓と腎臓の移植資格を取得し、深セン市で唯一これらの移植を行える医療機関となった。2018年7月には、東南大学付属中大病院の邱海波副院長のチームと、無錫市人民病院の陳静瑜医師の肺移植チームを受け入れ、2023年8月までに実施した移植は計858件、うち肝臓移植が496件、腎臓移植が362件に達している。

「追査国際」は、中共国家衛生健康委員会が国家区域医療センターや医療連合体の整備を進め、大規模移植センターの技術を各地に展開している点も明らかにしている。2018年3月22日には、華中臓器移植分センターが鄭州大学第一付属病院に設立され、同病院と上海仁済病院が共同で運営を開始した。いずれも国内有数の移植実績を持ち、連携によって優位性がさらに高まったとしている。

さらに、病院は移植患者を増やすために病床数を拡大するとともに、平均在院日数を短縮し、病床の回転率を高めているという。

鄭州市人民病院の腎移植科は2002年に設立され、2006~08年まで3年連続で国内2位の移植件数を記録した。2017年の調査録音では、病床数60床に対し、実際には67人の移植患者が入院しており、提供者がいれば1日に数件の手術が可能だとされている。

2016年の調査では、浙江大学付属第一病院の腎移植センターで、年間およそ300件の腎移植を実施していることが明らかになった。病床は50床で、経過が順調であれば、入院期間はおよそ1週間で退院できるという。

南京軍区総医院全軍腎臓病研究所の臨床治療センターでは210床を有し、平均在院日数は2008年の13.4日から2009年には8.22日に短縮された。年間の入院患者数は、2001年の4千人未満から、2016年にはおよそ7千人にまで増加している。

報告書は、臓器移植患者の長期的な生存の質を高める目的で、中国医師協会が2020年6月に「中国臓器移植受者中長期管理体系建設プロジェクト」を立ち上げたとも伝えている。2022年までに、吉林大学第一病院や山東省千仏山病院など9か所がフォローアップ拠点に指定された。

2022年7月には、江門市中心病院で同プロジェクトの腎移植フォローアップフォーラムが開かれ、同院で経過観察を受ける腎移植後患者は158人に達した。

こうした調査を踏まえ、「追査国際」は、中国の臓器移植が政策によって後押しされ、産業として組織化されながら拡大していると指摘している。その一方で、臓器の出所が不明で独立した検証ができない中での規模拡大は、より多くの無実の人々が命を奪われている可能性を示しているのではないかと疑問を呈している。

さらに、移植が「ニーズに応じる」「能力向上」「質の高い発展」といった成果や利益を生む事業として位置づけられることで、問題は単なる医療の枠を超え、人権と文明の根幹に関わるものになるとしている。

そして、不動産、輸出、消費という「三つのエンジン」が失速する中で、中国共産党が臓器移植を、闇で運営し、暴利と命の犠牲の上に成り立つ新たな「成長分野」と見なしているのではないかと問題提起している。

「追査国際」は、国際社会に対し、独立調査の実施や継続的な責任追及を求め、命を代償とするこの産業の拡大を食い止めるよう呼びかけている。

原文:「追査国際」による中国共産党の移植規模拡大に関する調査報告書

李潔思