中国共産党(中共)軍内で「ナンバー2」と目されてきた張又俠の失脚は、国際社会の関心を一段と高めている。1月31日、トランプ米大統領は専用機「エアフォース・ワン」内でメディアの取材に応じ、中国軍で進行している高官の粛清について問われると、「この問題を注視している」と述べた。
その前日には、シンガポールの南洋理工大学が、張又俠の失脚が中国共産党第21回全国代表大会(二十一大)に及ぼし得る影響を分析したワーキングペーパーを公表した。
論文の執筆者は、インド・バンガロールに拠点を置くタクシラ研究所でインド太平洋研究プログラムの議長を務めるマノイ・ケワルラマニ氏で、同氏はかつて南洋理工大学の客員研究員も務めていた。
論文は、張又俠のような上級将官が粛清されることで、彼の指揮下で昇進してきた将校のネットワークに連鎖的な影響が及ぶのは避けられず、中国軍の結束力や作戦遂行能力に対する深刻な疑念を招くと指摘。また、党・政府全体に不信感や不安心理が広がるとしている。
さらに、張又俠の処遇がもたらす最も顕著な影響は、中共二十一大の場で表面化すると分析する。
二十一大では新たな中共中央指導部が選出されるが、張又俠の失脚により、中央軍事委員会の上層部は事実上「総入れ替え」の状態となる。その結果、より若い新顔の人材を登用せざるを得なくなるとみられる。新たな後継者たちは習近平への忠誠度は高いが、ある一方で、制度内部からのフィードバック機能が失われるという代償を伴うと論文は指摘する。
論文はまた、二十一大をめぐる複数のシナリオを予測している。
第一に、習近平が4期目の続投を果たす。
第二に、習近平が引き続き権力を掌握しつつ、後継者を指名し、その人物を国家副主席に据え、2032年に国家主席に就任させる。
第三に、後継者を指名した上で、自身は政治局常務委員から退きつつも、最高位の「主席」的役割を保持する。
第四に、国家主席職を退任するものの、総書記および中央軍事委員会主席の職を維持する。
第五に、総書記と国家主席を退く一方で、中央軍事委員会主席の地位を保持する。
さらに、これらを組み合わせたその他の混合型の権力配置も考えられるとしている。
論文は結論として、習近平が張又俠を排除したのは、単に現在の権力を固めるためだけではなく、将来の権力継承をあらかじめ掌握する意図があることを示唆している。
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