2月5日、台湾TSMCの魏哲家会長が日本を訪問し、高市首相と会談し、日本国内工場の技術高度化について合意した。会談の場で魏哲家氏が取り出した一冊の本が、高市氏を驚かせた。
その本は、高市首相が2021年に出版した「美しく、強く、成長する国へ。『私の日本経済強靱化プラン』」だった。TSMCの日本進出や工場建設を後押しする政治的青写真と位置付けられてきた著作で、魏氏がこれを手にしていたことに、高市氏は強い驚きを示した。
同書は、高市首相が2021年9月に自民党総裁選への出馬を表明した際、急いで執筆・出版したものだ。内容は危機管理投資と成長投資を通じてポストコロナ時代の課題に対応することを掲げ、経済安全保障の強化や、中国共産党(中共)からの深刻な脅威への備え、サイバーセキュリティの強化などを柱としている。
魏氏は高市氏に対し、TSMCが熊本で、先端の3ナノメートル(ナノは10億分の1)半導体を量産する計画を進めていると説明した。
TSMCが日本で3ナノメートル半導体を生産するのは初めてとなる。同社は世界最大の半導体受託製造企業で、エヌビディアなどのAI向け半導体の主要供給元だ。現在、最先端半導体の多くは台湾で生産されている。これまで、TSMCの日本での計画投資規模は、比較的成熟した製造技術の半導体が中心だった。
魏氏は会談の中で、「この工場が地域経済の成長を一層促進するとともに、日本のAI産業の基盤を築く上で重要な役割を果たすと期待している」と述べた。
また、日本の顧客やパートナーと、AI分野の複数の重要領域で、さらなる協力について協議を進めていることも明らかにした。
高市氏は、3ナノメートル半導体が経済安全保障にとって極めて重要だとの考えを示した。
読売新聞によると、設備投資は170億ドルに達する見通しだ。政府は九州にあるTSMC工場の生産能力拡大に向けて補助金を支給している。今回の新たな投資計画についても、追加支援を検討しているという。
TSMCは当初、九州に建設する第二工場に122億ドルを投じ、6ナノメートルから12ナノメートルの半導体を製造する計画だったが、この計画についても政府と調整を行う方針だ。
専門家の間では、TSMCが日本で先端の3ナノメートル半導体を生産することは、同社と日本の双方にとって大きな意味を持つとの見方が出ている。
TSMCにとっては、日本での工場建設により、地政学的リスクや台湾における地震リスクを分散し、世界の半導体供給網の安定化につながるとする。
日本にとっては、世界最先端の製造陣営への復帰を意味し、半導体産業復興の本格的な出発点になるとの見方が出ている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。