2026年は「赤馬紅羊」の始まりである。
中国では古くから、この年回りは平穏に過ぎることはないと伝えられてきた。
その節目の年、空が異変を見せた。
2月14日、黒竜江省ハルビン。太陽が横に並び、七つに見える現象が相次いで撮影され、その映像がSNS上で広がった。古書では、こうした現象を「多日争輝」と記し、権力が分かれ、世が乱れる兆しと解釈してきた。
翌日には北京の空で、太陽の周囲に巨大な光の輪が現れた。これは「日暈(にちうん)」と呼ばれる自然現象であるが、古代では不吉の前触れとしてきた。
さらに旧正月の元日には「金環日食(太陽の外側だけがリング状に光る現象)」が起き、正月の締めくくりには、満月が赤黒く染まる皆既月食も起こる。
正月の始まりと終わりに、太陽と月が続けて欠ける。この巡り合わせは60年ぶりである。
もちろん、これらの現象はいずれも科学によって説明できる。
しかし、今年が特別な年回りであることが、人々の胸に微かなざわめきをもたらしている。
2026年は干支で「丙午(ひのえうま)」、翌2027年は「丁未(ひのとひつじ)」にあたる。
丙と丁は五行で「火」を表し、午は馬、未は羊。この二つの年を合わせ、中国では「赤馬紅羊(せきばこうよう)」と呼ぶ。
民間には「赤馬紅羊劫」という言葉もあり、この年回りは動乱や災厄の起こりやすいとしてきた。
干支は六十年で一巡する。前回の丙午は1966年。この年、中国では文化大革命が勃発し、社会は深い混乱へと踏み込んだ。さらに歴史をさかのぼれば、丙午や丁未の年に政変や戦乱が重なったという記録も残る。
そのため「赤馬紅羊」は、単なる暦の呼称ではない。
民衆の記憶に刻まれた、動乱の象徴である。
そして今年、その年回りに、七つの太陽、光の輪、日食と月食が重なった。
偶然の一致かもしれない。
だが、偶然が幾重にも重なるとき……人は、そこに意味を見出そうとする。
2026年。
歴史は再び静かに動き始めているのか。それとも、ただの思い過ごしか。
中国ではいま、空を見上げながら、その問いが重く漂っている。
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