中国の旧正月シーズンに開かれた民間の新年コンサートが、ネット上で密かな笑いを誘っている。
問題の曲は、その名も「踏馬迎春」。歌詞には「我踏馬給你加油(踏馬で応援するよ)」「祝你踏馬沒憂愁(踏馬で悩みなし)」といったフレーズが繰り返し登場する。「踏馬」という言葉が、これでもかと差し込まれているのだ。
「踏馬」は本来「馬を踏む」という意味であるが、今年は干支が馬年にあたる。字面だけを見れば「馬の年に勢いよく進む」「馬を踏みしめて春を迎える」とも読める、いかにも縁起のよい表現である。
ところが、その発音は中国語の強い罵り言葉「他媽(ターマー)」とほぼ同じである。日本語で言えば「くそ」や「ちくしょう」に近い、きわめて荒っぽい響きをもつ。
赤い衣装に満面の笑み。背後のスクリーンには「新年音楽会」の文字が輝く。見た目は華やかでおめでたい。しかし耳を澄ませば、祝福の合間に「ほぼ放送禁止級」の響きが何度も滑り込む。
ネット上では、「ついに堂々と『他媽』と言える日が来た」「祝福を装った当局批判ではないか」といった皮肉交じりのコメントが相次いでいる。
景気低迷で社会全体に重苦しい空気が漂う中、正面からは言いにくい本音を、同音異義語に託してそっと差し込む。笑ってよいのか、うなずいてよいのか……見る者を複雑な気持ちにさせる。
華やかな新年舞台が、いつの間にか民衆の「ガス抜き会場」と化していたのかもしれない。確かなのは、この祝福の装いをした「うっぷん晴らし」が今、多くの共感を集めているということである。
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