3年連続で、北京当局は実質経済成長率が政府目標の5%に達したと発表してきた。2026年については、4.5~5.0%を目標に掲げている。
当局によれば、2023年、2024年、2025年の成長率は目標に「ほぼ近い」どころか、正確に一致したという。経済統計に通じた者にとって、このような「精密さ」そのものが、かえって数値操作への疑念を抱かせるに十分である。
さらに疑念を深めるのは、この比較的良好とされる成長率が、中国経済をめぐる数多くの報道と明らかに矛盾している点だ。依然として続く深刻な不動産危機、アメリカ向け輸出の大幅な落ち込み、独立調査が示す公式統計との乖離、さらには中国共産党(中共)内部の会議においてさえ表明している経済への強い懸念、いずれも、楽観的な成長像とは整合しない。
こうした矛盾を踏まえ、本稿では企業や地方自治体の行動や計画に関する、必ずしも網羅的ではない事例を点検することで、経済の実態に迫りたい。そこから浮かび上がるのは、北京の目標達成が示唆する姿よりも、はるかに脆弱な経済の現実である。
まず小売業界の動向は心強いものではない。フードデリバリー各社は需要の急減を報告し、業界大手の「美団」は直近で公表された昨年第3四半期決算で赤字を計上した。
スウェーデンの家具大手イケアも、中国国内41店舗のうち7店舗を閉鎖すると発表した。全体の約16%に相当し、決して小規模な縮小ではない。閉鎖対象は上海郊外をはじめ、広州、天津、南通、徐州、寧波、ハルビンと広範囲に及ぶ。
経営陣は、不動産危機と新築住宅購入の減少を主因として挙げる。危機は一時的なものにとどまると期待してきたイケアも、拡張戦略を断念し、住宅リフォーム分野へと軸足を移す、より限定的な展開へかじを切った。
衣料品の小売・卸売も低調だ。上海の衣料品卸売市場では販売ペースの鈍化が顕著である。同市場は長年、メーカーと小売業者を仲介し、売れ残りの引き取りを条件に在庫を供給してきたが、現在は返品が出荷を大幅に上回っているという。
問題は衣料品にとどまらない。企業の開示資料によれば、鉄鋼、コンクリート、ロボット、化粧品など幅広い業種で利益が縮小している。アメリカの調査会社ファクトセットが追跡する中国本土約5千社の利益率は、世界金融危機下の2009年以来の低水準に落ち込んでいる。
中共当局が重点分野と位置付ける電気自動車(EV)メーカーでさえ、需要不足に直面している。販売店は成約のために大幅な値引きを余儀なくされ、時には原価割れで販売する例もあるという。上海の自動車販売店AVIC藍天は、昨年の売上高が前年比で50%減少したと報告している。
過剰投資が指摘されるEV分野だけではない。製紙業界も昨年の売上高が前年比11%減少したと報告し、業界全体として望まぬ水準まで負債を積み上げざるを得なかったと不満を表明している。
こうした企業からの芳しくない報告が相次ぐ中、中国20省のうち13省、ほぼ3分の2が2026年の成長目標を引き下げた。製造業の中心地である広東省や浙江省も見通しを下方修正している。地方政府は、不動産危機や内需不足の悪影響が自然に解消するとの楽観を、もはや維持できなくなっているように見える。
経済学者や専門家はしばしば、「逸話(事例)は証拠ではない」と警告する。この指摘は重く受け止めるべきだ。逸話は選択的に提示され、偏見を補強するために用いられる。一方で、広範な統計指標は理論上そうした恣意性を排しやすい。
本稿でも反対の動向や明るい材料を探したが、特筆すべきものはほとんど見当たらなかった。他方で、中国の場合、当局が公表する包括的統計に疑念を抱く合理的な理由も存在する。逸話は経済学者や科学者が求める厳密な証拠とは言えないかもしれない。それでもなお、無視し得ない示唆を与えることは否定できない。
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