2月17日は中国の旧正月。例年この時期になると、ショッピングモールは人波であふれ、青果市場は身動きが取れないほどの賑わいを見せる。しかし今年は様子が一変し、市場全体に閑散とした空気が漂っている。消費の冷え込みは目に見えて明らかであり、各地の住民は「収入がない人はもちろん、お金を持っている人まで財布のひもを固く締め、消費を控えている」と口をそろえる。
中原地方に住む李旺(仮名)氏は、大手国営企業の社宅地で暮らしている。その職員の収入は比較的安定しており、一般的な共働き退職家庭の月収はおおよそ8千〜9千元(約16万〜18万円)ほどである。
李氏によれば、例年の旧正月期には団地の各家庭が早くから大量の正月用品を買い込み、大きな包みを抱えて帰る光景が見られ、年の瀬の雰囲気が濃厚であったという。しかし今年は明らかに様子が違い、人々がお金を使いたがらない傾向が強まっている。「理由は分からないが、今年はお金があってもなくても、みんな消費しない」と李氏は語る。
例年は所得の高低にかかわらず、人々が大、小の袋を抱えて買い物をしていた。裕福な家庭では、丸ごとの羊を一頭買って2千元(約4万円)以上を支払い、スーパーで肉を買う際も少なくとも5キロは購入していた。収入の少ない家庭でも数キロの肉を買い込み、団地の中は年の瀬の活気に満ちていたという。
だが、今年の様子はまったく異なる。人々は依然として団地内で集まって雑談しているものの、どの家庭も例年のように十分な正月用品を備える気配はない。李氏は「市場には商品が豊富に揃っているのに、買う人がいない」と話す。
彼によると、昨年は経済低迷が続き、失業者が増加、収入が減少し、多くの家庭で経済的負担が一段と重くなっているという。周囲では「安定した仕事が見つからない」「働いても年末まで給料がもらえない」といった声が頻繁に聞かれる。
「収入の二極化が進み、8割の人が手元資金を持っていない。働いても収入が得られず、車や住宅ローンの返済に追われ、子供の教育費もかさむ。経済的なプレッシャーは非常に重い。誰もが節約するほかない状況である。お金があればもう少し楽に暮らしたいと思うのは、誰しも同じだ」と李氏は語った。
北京繁華街 人影まばら
首都・北京でも同様の傾向がみられる。今年は多くの地方出身者が帰省したため、市内の消費も一層落ち込んでいる。
北京市民の大宇(仮名)氏は、「今年は北京にいた地方出身者の多くが帰省し、各地と同じように街の人影がまばらだ。繁華街の王府井でも人出が少なく、以前のような賑わいは見られない」と述べた。
また、北方地方の民営企業経営者・楊梅(仮名)氏も同様の見方を示す。「親戚や友人が消費を控えるだけでなく、業界内での贈答や取引上の支出も明らかに減り、正月の雰囲気がまるでない」と語った。「お互い電話で『正月に何か買う?』と聞いても、『買う気にならない』という返事ばかり。通りにも人影がほとんどない。以前は朝早くから多くの露店商がいて、人の往来が絶えなかったが、今では朝9時に外へ出ても誰もいない」と話す。
出稼ぎ労働者 羊肉すら買えず苦悩
中国本土の趙峰(仮名)氏は昨年、地方で出稼ぎをしていたが、1年働いても思うように稼げなかったという。「正月に家族が羊肉を食べたがったが、そのお金すら出せず、非常に苦しかった。茄子とニンニクの芽を少し買って簡単に済ませた。スーパーも客足が少なく、例年のような賑わいはまったく見られなかった」と語った。
趙氏はさらに、「共産党政権が一日も早く崩壊してほしい。庶民がこれ以上苦しむことのない社会になってほしい」と訴えた。
今年の消費停滞について、中国の商人・向群(仮名)氏は、「人々の将来の収入に対する不安が、今年の消費意欲を直接的に冷やしている」と指摘し、「こうした不安心理が続く限り、2026年の経済全体も依然として楽観できない」との見解を示した。
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