ドナルド・トランプ米大統領は3月8日、イランの新指導者について、米国の承認を得られなければ「長くは持たないだろう」と述べた。
米国とイスラエルによる攻撃で死亡したイラン最高指導者アリー・ハメネイ師の後継者として、息子のモジタバ・ハメネイ氏が選出された。
モジタバ・ハメネイ氏は、日曜日に行われた専門家会議(Assembly of Experts)の投票に先立ち、有力候補と見られていた。専門家会議は88人の聖職者で構成され、憲法上、イスラム共和国の次期最高指導者を選出する権限を持つ機関である。
アリー・ハメネイ師は2月28日、米国とイスラエルがイランに対して開始した最初期の攻撃の一つで死亡した。
専門家会議は3月9日未明に発表した声明で「専門家会議は決定的多数の賛成により、アヤトラ・セイエド・モジタバ・ホセイニ・ハメネイを神聖なるイラン・イスラム共和国体制の第三代指導者に任命した」と明らかにした。
最高指導者の地位は、イスラム共和国における国家運営のあらゆる問題について最終決定権を持つ。
公の場に姿を見せることがほとんどなかったモジタバ・ハメネイ氏は、イスラム革命防衛隊(IRGC)と緊密な関係を持ち、国内の聖職者にも影響力を持つ人物とされる。今回の選出は、強硬派が依然として体制の主導権を握っていることを示している。
イスラム革命防衛隊はモジタバ・ハメネイの指導者就任を歓迎する声明を発表し、56歳という比較的若い年齢に触れ、「政治問題に精通した若き知識人」であると評価した。父アリー・ハメネイ師は1989年、建国指導者ルーホッラー・ホメイニ師の死去後、50歳で最高指導者に就任し、37年以上にわたり統治した。
今回の米国・イスラエルによる攻撃では、モジタバ・ハメネイの妻と母親も死亡している。
イラン政府の発表の数時間前、ドナルド・トランプ米大統領は、イランの次期指導者の選定に米国も関与すると述べ、イラン体制が指名した後継者が米国の承認を得なければ「長くは持たない」と警告した。
トランプ大統領は以前からモジタバ・ハメネイ氏の後継就任を支持しない立場を示していた。トランプ大統領は先週、米メディアAxiosに対し、モジタバ・ハメネイの後継論について「時間の無駄だ。ハメネイの息子は軽量級の人物だ」と述べたうえで、ベネズエラでの対応を例に挙げ、「ベネズエラでデルシー・ロドリゲス氏を任命した時と同じように、自分も任命に関与しなければならない」と語った。米国は1月初旬、ベネズエラでニコラス・マドゥロ政権を排除する軍事作戦を実施し、選挙が実施されるまでの暫定的措置として副大統領のロドリゲス氏を指導者に据えた。
イランで新指導者が任命された後、トランプ大統領はイスラエル紙タイムズ・オブ・イスラエルの質問に対し「今後どうなるか見てみよう」と述べるにとどめた。また、戦争終結はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相との共同判断になるとの認識を示した。
トランプ大統領はこれまで、米政権が望んでいたイランの潜在的な新指導者候補はすでに死亡しているとも述べている。戦争開始以降、イランの軍司令官や政府高官の数十人が死亡した。
モジタバ・ハメネイ氏の指導者就任について、リンゼー・グラム上院議員(共和党、サウスカロライナ州)は「我々が求めている変化ではない」と批判した。
グラム上院議員はSNSへの投稿で「殺人的なアヤトラの息子は、我々が望む変化ではない。モジタバ・ハメネイはイラン国民が苦しむ中で贅沢な生活を送り、憎悪を煽る最前線に立ってきた人物であり、宗教的ナチスでもある。父親と同じ運命をたどるのは時間の問題だと考える。アリー・ハメネイは地球上でも最も邪悪な人物の一人だった」と述べた。
一方、米軍はイラン体制との戦争で7人目の戦死者が出たと発表した。米中央軍(CENTCOM)は、3月1日にサウジアラビアで発生したイランによる米軍攻撃で重傷を負った兵士が7日に死亡したと明らかにした。
死亡した兵士の氏名はまだ公表されていない。
これまでにイランとの戦争で米兵6人が死亡している。7日、トランプ大統領はデラウェア州のドーバー空軍基地で、軍の儀礼に基づき遺体移送式に臨んだ。
本報道にはロイター通信が協力した。
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