中国 「末法の世」と嘆く人々

中国少林寺元トップに懲役24年 「政治和尚」「仏教CEO」と呼ばれた男

2026/05/31
更新: 2026/05/31

中国の名刹として知られる少林寺の前住職、釈永信(しゃくえいしん、本名・劉応成)が5月29日、一審で懲役24年の判決を受けた。寺の資金を不正に取得・流用したとされ、その額は約3億元(約60億円)に上る。罰金350万元(約8千2百万円)も命じられた。

釈永信は16歳で出家し、1999年に少林寺のトップに就任した。全国人民代表大会の代表も務めたことから「政治和尚」と呼ばれた一方、少林寺ブランドを活用した事業展開で「仏教CEO」とも呼ばれてきた。

2024年には当局の調査を受け、資金流用のほか女性問題も報じられた。中国のSNSでは「判決が軽すぎる」「一人の僧侶だけの問題ではない」といった声が相次いでいる。

実際、中国仏教界では同様の不祥事が繰り返されてきた。2018年には中国仏教界トップだった釈学誠(しゃくがくせい)が女性弟子へのセクハラ問題で失脚した。四川省では寺院住職が女性問題を巡る騒動で公職資格を剥奪されたこともある。高級車を乗り回す僧侶や、寺院を巨大ビジネスとして運営する住職の姿もたびたび話題となった。

背景には、中国の宗教が中国共産党の厳しい管理下に置かれている現実がある。中国では寺院や宗教団体も党の指導を受ける仕組みとなっており、宗教界の幹部が政治的な役職を兼ねることも珍しくない。少林寺の住職だった釈永信自身も、長年にわたり政界との深い関係を築いてきた人物だった。

こうした状況について、中国国内では「末法の世」という言葉で語る人もいる。仏教でいう末法とは、人々の道徳が衰え、教えが形だけになった時代を指す。戒律を守るべき僧侶が金や権力を追い求め、寺院が信仰の場ではなく利益を生む事業へと変わる姿に、多くの人が失望を隠せない。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!