中国 フランス抜き世界最大のフォアグラ生産国へ 低価格化で輸出も進展

2026/06/22
更新: 2026/06/22

フランス料理を代表する高級食材として知られるフォアグラは、フランスの食文化における象徴的な美食の一つとされてきた。しかし、業界アナリストや関係者の間では、中国が近くフランスを抜き、世界最大のフォアグラ生産国になるとの見方が出ている。これに対し、動物福祉団体からは懸念の声が上がっている。

ロイター通信によると、中国ではフォアグラが高級フランス料理の食材から、庶民的な食材へと変わりつつある。チャーハンに使われるほか、薄切りにして火鍋に入れる食べ方も広がっている。中国の飲食店では、フォアグラ一切れの価格は30〜70元(約700〜1600円)にとどまり、フランスのレストランで提供される15〜40ユーロ(約2700〜7400円)より大幅に安い。こうした大衆化の流れが、中国のフォアグラ産業の急成長を後押ししている。

業界アナリストの推計によると、中国の昨年のフォアグラ生産量は約1万4千トンに達した。10年前の2千トンから7倍に増え、世界最大の生産国であるフランスの1万5千トンに迫っている。

フランスのフォアグラ業界団体CIFOGのファビアン・シュバリエ会長は、中国の競合相手がここまで急速に成長するとは予想していなかったとし、「確かに懸念すべき状況だ」と認めた。現在、フランスと中国を合わせたフォアグラ生産量は、世界全体の8割以上を占めている。

中国産フォアグラの競争力を支えているのは、当局による多額の補助金と、高強度の強制給餌である。

中国の農家、李鳳山さんの例では、政府の補助金によって、インフラやワクチンにかかる費用の50%以上が賄われているという。ただ、同氏はそれだけでなく、肥大した肝臓を作るための過酷な長時間労働も大きな要因だと説明する。

李さんによると、従業員1人が、ふ化から食肉処理まで400羽以上のガチョウを担当している。ガチョウの生涯約100日のうち、最後の10日間は従業員がほとんど眠らず、昼夜を問わず働き、1羽につき1日6回の強制給餌を行う。こうして作られるフォアグラは1キロを超えることもあり、フランス産のアヒルのフォアグラの2倍の大きさになる。

「ヨーロッパ人は、もう大規模にガチョウを飼育することができなくなっている。この仕事はあまりにもきついからだ」と李さんは話す。李さんの妻は、重さ2.9キロの巨大なフォアグラを誇らしげに見せた。

現在、中国産フォアグラの輸出は検疫規制の影響で全体の5%未満にとどまっているが、業者はすでにドバイ、東南アジア、日本、韓国などの市場に進出し始めている。

中国最大のアヒル肝生産会社で、年間1500トンを生産する吉林正方農牧公司の幹部、閔偉さんは、同社が今年、東南アジアとヨーロッパへのフォアグラ輸出を準備していると述べた。

また、大手フォアグラ生産会社の山東春冠食品公司は5月、中国メディアに対し、韓国向けの輸出契約を締結したばかりだと明らかにした。同社はさらに、日本、ロシア、東南アジアの企業とも協力し、これらの市場への供給を進めているという。

李さんも昨年、ドバイにフォアグラ6千缶を輸出した。

中国の農場経営者らは、中国国内の生産量が大幅に増えていること、コストと価格がはるかに安いこと、さらに世界的な需要が拡大していることを踏まえれば、フォアグラの輸出が増えるのは時間の問題だとみている。

一方、匿名を条件に取材に応じた4人の関係者は、大量の中国産フォアグラが深センや香港を経由して他国へ密輸されていると述べた。中国の税関規制を回避するためだという。関係者によれば、これらのフォアグラは別の商品に偽装されたり、他の商品に紛れ込ませたりして持ち出されており、その量は月に最大10トンに上る。

フォアグラをめぐっては、以前から論争が続いている。動物福祉団体は、カモやガチョウをケージに入れ、強制的に餌を与える方法に反対している。一方、中国のフォアグラ生産業者は、こうした懸念を重視していない。業者らは「中国国内では反対の声はほとんどない」と話している。